パーティでへるぷみー!! 1
「、デートに行こう」 部屋に入ってくるなり、クロロが言い放った。 「・・・・・なんで?」 「同行者が必要なんでな」 デート違うし。 「パクかマチは?」 「パクは違う獲物を盗りに行っている。マチはこの近くにいない」 「そこら辺の女の人引っ掛けたらいいじゃん」 「目の前に都合がいい奴がいるのに何故態々他を探す必要がある?他の奴は抱くか殺すかしなければならないから面倒臭い」 「最低な二択だね」 「ならそれが必要ないからな。シて欲しければ抱いてやるが」 「謹んで遠慮する。んで、どこに行くの?」 「パーティだ」 「何しに?」 「気になるのもが出品されるんでな」 「ふーん」 「ドレスは今から買ってやる。行くぞ」
──────4時間後──────
パーティに行くとは聞いた。
ドレスを買ってくれるとも聞いた。
けどさ、
だけどさッッ、
準備までに色々されるなんて聞いてないッ!! なんかよく分かんないまま店に押し込まれたら、ドレス試着させられまくるわ、終わったら奥に連れて行かれ、素っ裸にされてマッサージされるわ、無駄毛処理されるわ、髪の毛背っ弄られまくるわ化粧されるわで、もう既に体力使い果たしたんですけど・・・・ ドレスも超ミニスカとかフリフリとかヘソ出しとかプリンセス風とか背中丸見えとか、 ムリですッ!! 最終的には何とか妥協できる所まで持っていったよ・・・・
準備が全て終わり、クロロが待っているという部屋に通された。 「、できたか?」 ・・・・・・・顔がいいってホント得だよねぇ。 クロロが着ていたのはいつものとは違い光沢のある正装用のブラックスーツ。 髪は前髪を適度に残しながらも後ろに撫でられており、いつもと違った感じになっている。 額の十字は隠されていないが何故がマッチしており、ソファに座りカップを持っている姿はどこぞの皇太子がお忍びで来ていると言われても信じれるような雰囲気を醸し出している。 ・・・・・コレの隣に並ぶのヤだなぁ。 その皇太子風な幻影旅団の団長様はコチラを上から下までじっくり見ると、満足そうに頷いた。 「綺麗になったな」 うッッ、その姿で微笑むなッ!!/// 「あ、ありがとッ」 「何だ、顔が赤いぞ?どうかしたのか?」 分かってる癖に聞いてくるからタチが悪いッ!! 「別にッ」 「そうか。 では、行きましょうか、お嬢様?」 ・・・・・・・詐欺師でも十分やっていけるね。
パーティには煌びやかな衣装に包まれた上流階級な方々ばかりでした。(警護に付いている人々は如何にもな方々ばかりでした) そして、若い娘さん達はクロロを見て頬を染めながらため息をつき、その隣で腰に手を回されている私を射殺さんとばかりに睨んでいます。 いや、できるコトなら離れたいよ、こんなフェロモン垂れ流しのヤツなんかから。 でもね、同伴者だし、支えて貰わないと歩けないんですよね・・・・ 履いている靴はヒールが10cmあり、普段スニーカーやペタンコ靴、履いてもゴツイ感じのブーツしか履かないので慣れてない。 一人で歩いたらコケる可能性大だね。 しっかし、 「視線が痛い・・・・」 「気にする必要はない」 「クロロは好意的な視線しか受けてないからそー言えるんだよ」 「睨まれてるけど怖くもないし無視してても害は無いしね」 「なんでクロロが睨まれるのさ?」 「イイ男だからだろ」 「あっそ」 「(相変わらず、自分に対しての好意的な眼には鈍感だな)」
今のの姿は見目惹くモノがある。 顔は薄らと化粧が施され、中性的な顔立ちの中で女性らしさが見え隠れしており、黄と橙のオッドアイが際立っている。 ドレスは濃いエメラルドグリーンと黒を基準とした生地で、トップス部分には銀糸で細かな刺繍がされている。スカート部分はチュールレースで重ねられ、アシンメトリーラインになっている裾は妖精を思わせる。 少女から女性へと変貌している発展途上の身体と相俟って、なんともいえない色気が漂っている。 当の本人は、着たコトがない衣装への羞恥心と履き慣れない靴に注意が向いている為、男性からの色目に気付いてはおらず、クロロが男共に睨みを利かせているのも分かっていない。 「(確かにここまで雰囲気が変わるとは思わなかったけどな)」 クロロにしても予想外な変わり様だった。
クロロが周りに聴こえない様に囁く。 「さて、俺は目当てのモノを見てくるから、はその辺の料理でも食べて待ってろ。あまりウロチョロするなよ?」 「したくてもできないよ、こんなヒールで」 「精々コケないようにな」 「誰がコケるか。さっさと行け」 返事が気にいらなかったらしく、抱き寄せられ顎を持たれる。 「そんなに寂しがらなくてもすぐに迎えに行くさ」 声の音量が普通になり、周りに聞かせようとしているのが分かる。 「寂しがってないッ」 寂しがってないから、さっさと顔を離せ~ッ!!普段のクロロに離れてきたけど、今の恰好には慣れてないんだよッ/// あまりの近さに顔を赤くすると満足気になった。 「大丈夫、大事な用を済ませたらすぐに帰ってくるから。それまで可愛く待っててくれ」
──────チュッ──────
「~ッ///」 「はしてくれないの?」 だ~!お願いに見せかけた強制をすんな~ッ!! そんな悲しげな微笑みを浮かべるんじゃない!!周りの視線がクロロに同情的になってしざる得なくなるだろ!! このペテン師!!腹黒!!サド!!どうが「?」うぅっ・・・・ 覚悟を決め、両手をクロロの顔に添える。 この憎たらしい顔を抓みたい衝動を何とか抑え(実行したらナニされるか分からないし)、顔を引き寄せ頬にキスをする。 「・・・・相変わらずだな。まぁ、今回はコレで赦してあげるよ」 ・・・・・・・ムカつく。
「お嬢さん、とても素敵なドレスを着ていらっしゃいますね」「是非私とお話しませんか?」「いいや、僕と」 クロロが去った後、料理をチマチマ食べている(少しずつしかくれない!)と、すぐに数人の若者が声を掛けてきた。 「はぁ・・・?」 ・・・・・・パーティって暇なのかな?わざわざ私に声を掛けてこなくてもいいじゃん? クロロが返ってくるまでどーしよーかなー?
「失礼。私もそこのお嬢さんに用があるのだが?」
若者達の後ろから聞こえてきたのは男性の声。 その声を聞くや否や若い男達は顔色を変えて「あ、クレハールさん・・・」「い、いぇ・・」「し、失礼しました」など言って去って行った。 このパーティのお偉いさんか?何の用だよ?目立つことなんてしてないと思うけど? 視線を移すと護衛を従えた男が立っていた。歳は30代半ば。クロロ達まではいかないがそこそこ顔は整っている方だ。何だかんだ言ってモテる方なのだろう。 でも、護衛を含め全員念使い・・・・ね。 「何か用ですか?」 「おやおや、警戒をさせてしまったみたいだね。失礼。 私はクレハール。綺麗なモノが好きなだけの男だよ。 今回君に声を掛けたのはあまりに魅力的だったからね」 「はぁ、どーも」 「しかし、君は何処かで見た気がするんだ」 「さぁ?私は貴方と初めてお会いしますけど?」 「そうだね、こんな魅力的な女性と会っていたら忘れるはずがないね」 クレハールの指が顎に触れ上を向からされた。 知らない男に触れられた不快感に眉を顰めクレハールを睨む。 「本当に宝石のような美しい眼だ・・・・
『貰おう』」
──────ゾワゾワゾワッッ!!──────
あまりの悪感に全身が鳥肌立つ。 瞬時に離れる為足を動かそうとすると、 全身の力が抜けてその場に崩れ落ちてしまった。 膝が着く前にクレハールに支えられ抱き抱えられる。 「おや、眠いのかい? なら、『少し休みなさい』。私が休める部屋に連れて行ってあげよう」 「い・・・ぃ・・・」 「遠慮はいらない。 (ボソッ)私が面倒を見てあげるから・・・・」 不吉な言葉を聞きながら、意識を手放した。
おかしいな、デートにするつもりだったんだけどな? 主人公ピンチッ!!(笑) |