天災は忘れる前にやってくる1
「・・・・・?」 なんか両目と手の甲がズキズキする・・・ 触れてみる。どちらも布らしきものが巻かれていることが分かった。 が、外そうとしても取ることができない。 肌触りは柔らかいのに全然取れない・・・諦めて状況把握をすることにした。
この状況で考えられること 1.事故にあって病院 2.倒れていた自分を助けてくれた親切な人の家 3.実はまだ夢の中 4.誘拐された 5.どっか違う世界にトリップ
えっとまず、4は縛られてないし見張りもいないっぽいから除けよう。5は・・・そーゆー考えが出てきてる時点で結構堕ちてるよな・・・ 3は・・・頬を抓ったら痛いから夢ではなさそうだな。 となると考えられるのは1か2・・・どっちだろ?
包帯が巻かれている=目が見えない状態=どこにいるかが分かんない
・・・もう考えるの挫けそう。 「・・・ここ、どこだろ?」 今いる所は多分ベット。 フカフカだし、肌触りで判断。寝かされていたようだけど目が見えないのできちんとしたことは分かんないけど。 自分の部屋という選択肢はない。こんなにフカフカなベットではないから。 病院とも違うと思う。 VIP室はどうか知らないが、病院独特の感じがないしナースコールっぽいものも手で探っても見つからない。 何より、人の気配がしない。なら、ここはどこなのだろう? 考えても思い当たる場所がない。とゆーか、ここにいる理由すら分かんない。 自分が覚えていないだけで事故でもあったのだろうか?強い衝撃を受けたらその前後2・3日の記憶は飛ぶと聞くし。 となると、やっぱりここは病院なのだろうか?今ちょうど近くに人がいないだけ? それとも夜だから静かなのか?うろちょろしてたら怒られるかな?でも、暇だし・・・ちょっとだけ。 ガサゴソしてたら誰か起きたことに気づいてくれるよね? 目が見えないって不便だなと思いつつ手探りで進む。 手は未だ引き攣る様な感覚があるが動かせないこともないのでできるだけ痛くないように慎重に動かす。 ひとまず部屋をぐるっと一周してみた。 途中、ドアノブがあり開けようとしたが、鍵がかかっているらしく動かしてもびくともしなかった。 実は3かな・・・?そうだとしたら変に親切な犯人だよな~? 諦めて再び確かめると、すぐに再びベットに辿り着いたのであまり広くないことが確認できた。 ベットのほかに、本棚と机・椅子らしきものが置いてあった。 そして、机の上に、気になるものが置いてある。本だ。しかも唯の本ではなさそうである。 文字が光って見えている。布越し(しかも瞼閉じてるよね?)から見えるとは何とも特殊な加工がされている本である。 表紙は何が書いてあるか読めない。どこかで見たことのある気がするが、あまり深く考えずに手に持って開いてみる。 驚いたことに、中は表紙と違い日本語で書かれていた。現実逃避にこの本を読むことにした。 元々本を読むのが好きなため、集中して本を読んでいた。
──────ガチャガチャ、ガシャンッ!!──────
────ッ?!びっくりした~。な、なに? 「お?おい、中にいたのガキだぜ?」 「子ども?そんな情報なかったよ?侵入者じゃない?」 「殺るか?」 初っ端から物騒なんですけど・・・ 入ってきたのは男達。不思議と人の形に光っていて(夜光怪人みたいな?)本と一緒で布越しからでも見える。 話しながら入ってきた二人。そして後ろからもう一人、いるだけで得体のしれない威圧感が漂ってくる。 「ねぇ、あの子が持ってるの例の本じゃない?」 「やっぱ警備なんじゃねぇ?」 「ぁ・・・」 雰囲気に呑まれて声が出ない。 そんな時、黙っていた男が声を発した。 「・・・待て、“幸災の渡猫”?」 「それって、例の?確かに特徴は合ってるね」 「なんだそりゃ?」 「説明は後だ。ついでに連れて行け」 「はいはい。フィン、よろしく」
「あぁっ?!ったく、しょーがねーなぁ・・・」 「?!」 「暴れんじゃねーぞ」 「フィンが持ってると誘拐犯だね」 「うっせーぞシャル!!なら、テメーが持て」 「ヤだよ面倒臭い」 「テメェ・・・」 「行くぞ」 号令と共に動き出す。 慌てて男の首に腕を回し、体を安定させる。考えるより安全の方が優先だ。 軽いとは決して言えないこの身体を軽々持たれたコトにも驚いたが、動くスピードが尋常になく速い所為で一気に体にへ担が掛かる。 跳んだり降りたりする為、レールの見えない最高速度のジェットコースターに乗っている気分である。 あまりに速くて意識・が・・・・
フィンはいいように使われていると思う・・・ |