天災は忘れる前にやってくる8


ふと考えてみると、今住んでいるマンションの部屋数や間取りをきちんと知らない事に気付いた。

目が見えないのであまり移動しないし、移動する時も大抵人にくっ付いて行くか(不本意ながら)運ばれるので知らなくてもやっていけた。

何となく分かっているのは自分の部屋を出て目の前のトイレ(これは分かってないと困るから)と隣のパクの部屋、反対隣のリビング。・・・少なっ?!

まぁ、今まで知る必要がなかったしね。でも、どうせヒマなら部屋数ぐらいは知っておこうと思い、行動に移した。

 

今居るのは自分に割り当てられた部屋。流石に自分の部屋ぐらいは認識している。ベットから降り、壁伝いに部屋を出る。

まずは左に進む。なんかそーゆー風に言うよね?(あれ迷路だっけ?)

すぐ隣はパクの部屋。それは知っているので通り過ぎる。

二つ目のドアに行きついた。ノックしてみる。ガサゴソ音がした後ドアが開く。

「おぅ、か。どうかしたのか?」

フィンクスの部屋だったらしい。部屋に入れてもらう。

「ココ、フィンの部屋?」

「あぁ。ん?用があって来たんじゃねぇのか?」

「今探索中」

「ん。あんまり奥に行くんじゃねーぞ。危ねぇからな」

・・・奥って何?そんなに広いの?ってか、危ないの?

「危ないの・・・?」

「フェイタンの所はな・・・」

あぁ、拷問器具とか置いてそーだもんね・・・行ったらついでに使われそーだ・・・

「了解・・・」

ところで・・・

「フィンは何してたの?」

「んぁ、ああ。別に特に何かしてたわけじゃねーよ。ベットに転がってた」

「ごめん寝てた?」

「いや別に・・・本見てただけだし・・・」

・・・?歯切れが悪いな?もしかして・・・

「エロ本見てた?」

「ばっ?!ち、違ぇよ!!ってか、ガキがエロ本とか言うな!!」

当たりか・・・

「別に隠さなくたって今見えないし?男はそーゆーモンだとは思ってるから気にしなくていーよ?

あと私は今は子どもに見えるけど二十歳過ぎてマス」

「そーゆーモン・・・って、はあぁ?!」

あれ?伝わってないんだ?

「大学4回だったよ?パクの承認付。何故か分からないけど12くらいの身長に縮んでました」

「マジでか・・・しっかし、それにしてもガキっぽ過ぎねぇか?」

「うるさい!ココの奴らが老成し過ぎてるだけだい!!」

確かに向こうでも高1ぐらいに間違えられてたけどっ!!化粧して作ったら年相応ぐらいには見えてたわいっ!!(多分・・・)

「しかも12っつーのも無理がねぇ?どー見ても7・8だろ?」

と言い、ヒョイと抱えられる。

「日本人は身長が低いの!童顔なの!どうせ日本人体形だよ(最近の子はそうでもなくなってきてるけど)!!悪かったな!!」

「あー、そう怒るな。女に年齢とかの話はタブーだったな。悪かった悪かった」

なんか意味が違う気がする・・・

「どうせ肉がつくなら筋肉が良かった・・・」

フィンの腕や胸板を触って呟く。

この世界で生きるにはそっちの方が役に立ちそうだしな・・・

「止めろ。お前の顔で筋肉ついてたら違和感バリバリじゃねーか」

「シャルは?」

ベビーフェイスな女顔であの筋肉はありえなくない?

「あいつは男だからまだいーんだよ」

「そう?スラっとした体形の方が良くない?」

「それはお前の好みだろ・・?」

「そう?」

普通そう思わない?だってあの顔だよ?

「モヤシみたいなんかよりはイイだろ」

う~ん、男と女の認識の差かな?

「まぁ確かにフィンはモヤシみたいな体格は似合わないけどね」

ヤンキー顔でヘロかったら笑えるよね。

「似合ってたまるか」

「あはは」

 

 

ってやつは一般人のくせに何か変だ。普通幻影旅団(クモ)のことを聞くとビビっちまうのに・・・

最初連れてきた時はビビってやがった。なのにこの家に来てからはもう普通に接してやがる。

のーてんきっつーか図太いっつーか・・・

今も気にも留める様子なくオレの体をぺたぺた触ってくる。

「お前、怖くねぇのかよ?」

「?なにが?」

幻影旅団(オレ達)が。お前、犯罪とかから遠い所で暮らしてたんだろ?」

パクが言ってた。ホントに普通に暮らしてたみたいだって。

「そだね。別に犯罪はたくさんあったけど巻き込まれたことはないし、殺人もニュースで見るぐらいだったね」

「俺達の仕事は盗みもするし人も殺すぜ?」

それを悪いとは思っちゃいねぇし思っていられるような環境で育ったわけでもねぇ。

「盗賊だもんね」

「なのに怖くねぇのかよ?お前ぐらい、片手で殺せるぜ?」

「フィンは殺そうと思うの?」

「あ?別に今は思わねぇけどよ」

「なら別にいーじゃん」

は?

「今命の危険があるとかなら怖がるかもしれないけど、今特にないし。あとね、実感湧かないんだよね。

元から平和なとこで暮らしてたし、目の前で殺人なんか起きた事ないからどうなるか想像つかないってゆーか・・・あとは最初から皆結構交友的だったからね」

「そうかぁ?」

「確かにフィンは『殺すか?』とか言ってたけどね。

クロロが連れて行くって言った時は普通に抱いてってくれたし、他の皆と会った時は不信感と警戒心は持ってたみたいだけど殺気とかは飛ばされなかったしね」

確かに。念も使えなさそうなただの子どもに殺気まで飛ばしてもなぁ・・・

「クロロは威圧感バリバリで怖かったけどね。パクは最初から優しかったし、クロロが団長命令で『飼う』って言った時はもう皆『しょうがない』って感じで警戒心も解いてくれたみたいだし」

まぁ団長の気まぐれは今に始まったことじゃねぇしな。

「こんなに親切にしてもらってるのに怖がる必要がどこにある?」

「飼われている事に不満はねぇのかよ?」

「う~ん・・・あんまし『飼われている』って感じがしないからかなぁ?首輪付けられてる訳でもないし、鎖に繋がれてる訳でもないし・・・」

「それはただの変態だろ・・・」

「でも言ったら嬉々としてしそうじゃない?クロロとかシャルとか。フェイタンも面白がりそうだよね・・・」

・・・否定できねぇ。

「だから今の話は内緒ね!!」

「あぁ・・・」

「まぁ、慣れれるかどうかは分かんないし・・・できるかどうかなんてもっと分かんないけど・・・

人殺しも許容できるようにはなるつもりだよ・・・」

クモに飼われるんだしね、と言うその声が、真剣だが少し掠れているのはこいつの今の心境そのものだと感じた。

 

 

 

 

主人公探索に出たはずなのに一つの部屋しか行ってない?!
今回はフィンクス。なんかかなり主人公愛されてるね?おかしいな・・・?きっとここからフィンは過保護になって行くんだよ(笑)
次は誰かな?