天災は忘れる前にやってくる48
「グルルルルル・・・・・」
フィンが仮宿に入ろうとすると肩に乗っていた念獣が唸り出した。 「?!なっ、絶になったッ?!」 「・・・・フィンクス、ウボォーギン、ノブナガ、お前たちはに言われたことしろ」 「言われたことってケーキ、か?」 「なんでそんなこと・・・」 「そのまま絶の状態で生き続けるならいいがな」 「念、か・・・?」 「だろうね」 「メンドくせぇ・・・・・」 「行って来い」 「因みに、『買ってくること』だから盗んで来ても無効になるかもよ?」 「マジかよ」 「オレ、金持ってねぇよッ?!」 「オレもだ」 「貸そうか?トイチで」 「トイチって?」 「10分で一割」 「フザケんなシャルッ!!」「暴利じゃねーかッ!!」「ってか10分はおかしいだろソレッ?!」 「五月蠅いネ」 「お前等、シャルに借りようと思う事が間違ってるんだ。ケーキを盗るのがダメなら買う金を盗ったらいいだけの話だろ」 「お、そうか」「流石フランだな」「サンキュー」 「(チッ)解決したなら早く行ってきなよ」 「おぅ、オレが一番早く戻って来るからな」 「オレに決まってんだろ」 「あぁ、オレが早いに決まってんじゃねぇか」 「んだとぅ?!」 「三人共、早くいってらっしゃい?(それとも逝きたいのかしら?)」 「「「お、おぅ・・・(こ、恐ぇ・・・)」」」
意識が浮上するにつれて違和感を感じていた。 肉体的には未だ休息を求めていたが無理矢理覚醒し、目を開ける。 が、目の前に広がるのは風景ではなく誰かの鎖骨だった。 身体はその鎖骨の持ち主に拘束されているため動けない。 仕方無しに目線だけずらし状況を確認する。 相手は・・・・やっぱクロロか。まぁ、こんなことするのはクロロかシャルぐらいしかいないしな。 クロロは今眠っているらしく、あの全てを飲み込んでしまいそうな漆黒の瞳は見えない。 ・・・・しっかし、ホント無駄に顔だけは良いよな。反比例して性格もイイけど。 クロロといいシャルといいどーして顔が良い奴は性格に難があるんだ? 顔に合った性格が伴っていたら良かったのに・・・・『天は二物を与えず』ってのは本当だよな。 ん、待てよ? 頭がかなり良いし強さも上位にいるだろうから三物あるか。 与えまくってるじゃんッ?! そりゃ性格ぐらい悪くないと割に合わないか。(寧ろ性格でお釣りがきそーだけど)
今は髪が下ろされており、寝顔は綺麗な青少年だ。 どーして髪がオールバックになっただけであんなにも雰囲気が変わるんだろう・・・・? どちらにせよ綺麗は綺麗だよな・・・ それにしても、かなり好みの顔であって、しかもクロロに抱きしめられているってのは赤面鼻血モンでもおかしくないのに、どーして照れる処か何も思わない(寧ろウンザリしてる)んだろう・・・ 美形は3日もすれば見慣れるってのは本当だったんだ。 ・・・・とゆーより、今まで色々ありすぎて抱きしめられているぐらいはなんとも思わない状態の生活を送ってきたことに問題があるんだろうな・・・・・・
「・・・・いつまで人の顔を眺めているつもりだ?」 ・・・・起きてたか。クロロが人の気配に気づかないはずないもんな。 「綺麗だなぁと思って?」 「はこの顔が好みか?」 「顔(だけ)は」 性格諸々考えるとね~・・・ 「そう・・・・」 そのまま顔が近付いてきたので慌てて止める。 「だからなんでキスしてこようとすんのさッ?!」 「好みなら別にいいんじゃないの?」 「あくまでも鑑賞用としてだからッ!!どーにかなりたいなんか思いたくもないからッ!!」 「・・・・そこまで否定されるのは初めてだな・・・ 何で?も顔は好きなんだろ? 気を引く為に嫌がってる訳でもなさそうだし、がそんな高等技術使えるとは思えない」 「悪かったな恋愛経験値皆無でッ!! 好みだからって何されてもいーってわけじゃないもん。 別にキスに夢を持ってるわけじゃないけど(短期間に3人もキスされたら夢あったとしても壊れてるだろうけど)あんな苦しいモンしたいって思えない」 いつも肺活量の限界を試される身にもなれ!! 「苦しい・・・?」 「だって息続かないのに長々とするじゃん」 「・・・あぁ、、息は鼻でするモノだよ?」 「・・・・・・ぁ」 あ~、だから皆あそこまで続くんだ・・・・肺活量まで鍛えてるんだと・・・・ 「理解したなら実践あるのみ」 「って、だからやろうとすな~ッ?!」 「減るものでもないだろ?」 「減る。確実に神経と体力と時間は減る」 「なら、試したくなったらいつでも言いなね?」 ならんわッ!!
「話は変わるが、自分が新しい念を使ったのは覚えているか?」 あ、団長モードになった。 「んー・・・フィン達が喧嘩してた時?」 「そうだ」 「何となくは覚えて・・・・」 ないこともない。 「ならコイツは?」 ひょいと目の前に差し出されたのは・・・ 「導きのドラゴンッ?!」 07-GH●STですか?! あ、でもアレはピンクだったよな? コレは・・・白銀?ってか紫銀?薄く紫入ってるよね。 んで、額には青い石か。 「名前は紫苑でいい?」
「グルピャッ!」
「いいって」 “ブルピャ”じゃなくって“グルピャ”なんだ? 「能力名より先に名前なのか」 「だって呼ぶのに不便だし。能力名の方はシロガネのと一緒に今度考えとく」 「・・・そっちもまだか」 「何となくは決まってるんだけど“コレだ”って思うものがないの」 「まぁいい。新しい能力も誓約や制約によってはかなりの武器になる。きちんと把握して使いこなせるようにしておけ」 「はーい。 それにしても・・・・・かっわいい~ッッ!! モコモコしててシロガネとはまた違った触り心地~♥ ちっちゃいしマジ小動物みたいで癒しだね~」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・おい、虎の方が拗ねてるぞ?」 「は?」 「ソイツばっか可愛がるからじゃないか?」 ・・・・マジ? 「・・・シロガネ?」 見ると、丸まりながら尻尾をパタンパタンと動かし不機嫌そーな雰囲気を漂わせてそっぽを向いていた。 「シロガネ、拗ねない拗ねない。この子はちっちゃくてカワイイねって言ってるだけだから」 「フォローになってないぞ」 「あれ?」 シロガネは暫くの間じっとシオンを見つめていたが、スクッと立ち上がると、
光出した。
「えっ?!・・・・・・・はい?」 光が収まりシロガネがいた場所には小さな虎縞の小猫がいた。 「シ、シロガネ・・・?」
「ミャー・・・・・」
テッテッテッと歩いてきたソレは、どう見ても虎縞のカワイイ小猫にしかみえなかったが、額にはシロガネと同じ赤い石が嵌まっているので、シロガネなんだろう。 「かわいくなったねぇ・・・コンパクトサイズでカワイイ♥ 小さくなったからチビシロだね?」 抱き上げて撫でてやると、目を細めて喉を鳴らす。 しかし、シオンが近付くと毛を逆立てて威嚇する。
「フーッ!!」
対抗心燃やしてるし。 シオンの方は興味津々なのにな。 「チビシロ、仲良くしてほしいんだけど?」 喧嘩してるの見るよりじゃれ合ってるの見る方が数倍癒されるのに。 威嚇を止めないチビシロに、何を思ったかシオンがピョンと近付く。 余計に警戒を強くするチビシロに間近まで寄り、顔を舐めた。 コレにはチビシロもびっくりしたらしく、キョトンとした顔をする。 チビシロの様子も気にせずシオンはペロペロ舐めていく。 チビシロは毒気を抜かれ、されるがままになっていたが、途中からはシオンの体を舐めてやり、毛繕いをし合いっこしていた。 「カワイイ///」 「確かに」 毛繕いが終わったら、私の体を駆け上がり、両肩にきた。 「おっ?!」 やったらできるかな? 両手を伸ばしクルクルと回ってみる。 すると二匹は理解したらしく、互いに対称に動きながら手から反対の手へと移動を繰り返す。 おぉッ?!やる~♪ BGMは決まりだね♪ 「・・・・何をやってる?」 「え?某風の谷の姫さまごっこ」 一度やってみたかったんだよね。 「・・・・そうか」 あ、呆れてる。
フラン、それは屁理屈じゃない? 主人公、体は触れあってるのにどんどんラブから遠ざかる・・・不思議だ。まぁ、ディープキスの仕方を知らないだけですでにアウトかな? シロガネちゃん、小さくもなれるんだね・・・欲しいなぁ、手乗り虎(笑) |