天災は忘れる前にやってくる51


今回盗みに入る所は、人里から少し離れた金持ちの屋敷で、周りが山、正面が拓けた草原になっている。

結局、ビクスは一緒に盗みに入り、私は山と草原の間辺りで待っている事になった。

「いい、絶対にココから動いちゃ駄目だからねッ?!

警備員もなるべく殺していくようにするけど、近付いてくる奴がいるなら躊躇しないで殺すんだよ?」

滅茶苦茶物騒だな・・・

「シャル・・・そんなに心配しなくても警備員ぐらい私でもどーにかできるって」

「できない場合があるかもしれないから心配なんだよッ!!

『アイツは操作系だからね。近付いてくる奴は操られている場合があるから十分注意して』」

シャルが言葉と同時にビクスに見えないように念で文字を書いてきた。

「・・・・・・・了解」

、すぐに戻ってくるから大人しく待っててね。

『もしビクスが近付いてきたら逃げなさい』」

「分かった。パクも気を付けてね?」

皆が盗みに入った後、シロガネを出し、周りを警戒してもらった。

何度か唸り声を上げる時もあったが、近くまでは来なかったらしく誰の姿も見えなかった。

そこまで警戒する必要なかったのかな?あともう少ししたらクロロ達も帰ってくるよね?

そんな風に思っていた時だった。

 

 

「・・・・・・・え?」

身体が重い、力が入らない・・・頭は動くのに、身体が言うことを効かないッ?!

「シロ、ガネ・・・」

シロガネが、いない・・・・なんで?

 

──────コツコツコツ・・・・──────

 

「効いてきたかしら?

ご機嫌はいかがか?」

「ビクス・・・・なに、した・・・」

口が重い・・・

「あら、まだしゃべれるのね?別にいいけど。

シャルナークぐらいから私が人を操る操作系って聞いているんじゃない?

それだけじゃないのよ?風も操ることができるの。

風に神経系の毒を乗せて貴女がいる周りに、ね。

動けないでしょ?神経がやられてる所為で纏も乱れてるし発も保てていないようね。

どうする?泣いて赦しを請うなら殺したりはしないわ?」

「なに・・赦され・・る、ひつよう・・・が・・あ・・・・る?」

「なんて愚かなのッ?!私のクロロに媚を売って、あまつさえシャルナークにまで手を出しているこの売女のくせにッ!!

まぁいいわ。売女に相応しい様にしてあげる」

なに?

ビクス指を鳴らす。すると、警備員の恰好をした男達が数人、周りを囲んできた。

「コイツ等に汚されたって知ったら、クロロも愛想を尽かすかしら?」

な・・・

「ヤりなさい」

ビクスの号令に男達が近付いてくる。

どうにかして逃げようとするが、身体が思うように動かず、立つことも儘ならない。

「クソッ、放せッ・・・」

男達は無反応のまま、わたしの手足を持ち、服を破いてくる。

「クッ、やめっ・・」

どーして、いつもみたいに弾かないッ?!

纏をしてないから?!シロガネがいないと纏をしてなかったら無理なの?

それとも、コイツ等が敵意は無いからか?!

このままじゃ、ヤられるッ!!

「アハハハ、いい気味ね。そのままボロ雑巾のように扱われるがいいわッ!!」

 

い、イヤだッ。こんな奴らにヤられたくないッ!!

 

 

──────ガッ!!──────

 

「誰ッ?!」

「今のを避けるか・・・・」

ビスクは飛び去り、居た場所にはクレーターができた。

「何よ貴方はッ?!邪魔しないでッ!!」

「俺は自分の任務を遂行しようとしているだけだ。お前の都合なんて関係が無い」

「何ですってッ?!なんて自分勝手なのッ?!」

・・・お前に言われたくはないだろう・・・・・

「いいわ、そんなに死に急ぎたいなら貴方から先に相手になってあげるッ!!

行きなさい、私の下僕達ッ!!」

囲んでいた男達が男の元へと向かい、腰にぶら下げていた銃を撃つ。

しかし、念能力者に銃が効く筈もなく、一撃で倒されていく。

「終わったとは思わないことねッ!!」

倒されたはずの警備員達が立ち上がり、再び男に近づいていく。

中には首や身体が間違った向きになっている者もいて、結構気持ち悪い。

アンデット使いネクロマンサーか」

「そうよ、痛みを感じないから何度だって向かっていくわッ!!」

男は立ち止まると、強大なオーラを練りこみ、アンデットにぶつけていく。

アンデットはその力に耐えきれなかったらしく、跡形もなく消滅していった。

「そ、そんな・・・

強いのね。なら、コレならどうッ?!

死せる風ポイズン・ブロウ』!!」

紫の風が男を包む。

「どうッ?!これで動けないでしょうッ!!」

ビクスが高笑いをしようとした時、何かが動いた。

 

──────ドスッ・・・・──────

 

「カハァッ・・・・」

一瞬の内にビクスの腹から腕が生えた。

「な・・ぜ・・・・」

「毒は効かない。あんな毒では1週間居ても生きられる。

まだアンデットの方が厄介だったな」

「そう・・・・・・

なら、これがさいごよ・・・・」

ビスクから勢いよく風が吹き出した。

風が収まった時、男は至る所から血が出ていた。

「・・・カマイタチか。(俺の皮膚に傷を付けるとはな・・・・)」

男が腕を抜くとビクスの躰は地面に落ちた。

地面に血だまりができていく。

 

 

 

 

主人公の守りも、毒には勝てなかったようです。
神経系の毒だから、オーラにも響いたのでしょう(だからシロガネが出なくなったんだよ、きっと)