天災は忘れる前にやってくる75
──────『やったぁーッ、勝ったぁーッ!!』──────
・・・・ん。 「ふぁー・・・・・ん?」 大きな声に起きてみるとゴンが仰向けに寝ており、会長が内線で電話をしていた。 「終わった、とこ?」 「なんじゃ、今起きたのか?」 会長が近寄ってくる。 「はぁ、まぁ。おはようございます?」 「どうするんじゃ?」 「は?」 「『起きたら考えます』と言っただろうが。残念ながら405番も99番もボールは取れんかったが、お前さんはどうする?」 「んーと、『どんな攻撃も自由』というのは、武器を使おうが何しても自由ってコトでOKですか?」 「そーゆーコトじゃな。ハンター試験のようにその虎を使っても構わん」 シロガネもOK、ね。 「んじゃ、一応チャレンジしてみます」 ゴンを危なくない端っこに移動する。 「いつでもよいぞ?」 「ではまずボクだけで行きます」 ナイフを取り出し構える。 「ベンズナイフの初期、かのぉ?」 「当たりです」 言うと同時に踏み込み、ボールを持っている手や急所を狙って振る。 「ほう、中々やるのぉ」 クロロやフェイタンに鍛えたお陰でかなりナイフ捌きはサマになっているはずだ。間を空けずにドンドン攻めていく。 「ありがとうございます」 といっても、会長は一重に避けて行く。 「かなり実践的な使い方を学んでおるな」 「指導者が型とかを気にしなかったので」 「しかし、少し躊躇っている部分もある。攻撃は苦手かの?」 ・・・・流石。 「そうですね。平和的に解決できるものならそれに越したコトはないと思います。 でも、無暴力主義者ではないので敵意がある相手には躊躇いませんし売られた喧嘩は適度に買います」 「ある程度心積もりを持っておくのは良いことじゃ。しかし、このままだとボールは取れんぞ?」 「そうですね。では、
シロガネッ!!」
シロガネを会長の後ろから襲わせようとした後、
自分の所から飛び出させた。
「なッ!?」 後ろからの攻撃に対応しようとしていた所に前からの体当たりにバランスを崩し、その一瞬を突いてボールを取る。
「ボクの勝ち、ですよね?」 シロガネを使ってもいいと言ったのは会長だ。(反則に近かったけど) 「なんと、そやつは念獣だったのか・・・・お前さんが纏をしていなかったからすっかり油断しておったわい」 「この子を使っていいと言ったのは会長の方です」 「そうじゃな。やれやれ、約束じゃ。 167番、今期ハンター試験合格とし、新しくハンターして任命する」 やりぃ♥
「しかし、一応合格したとはいえ、所謂裏合格というものになってしまうのぅ?」 「・・・・それは試験を最後まで受けろってことですか?」 「その方が示しがつくのぅ」 ・・・白々しい。やっぱ狸だ。 「条件を付けてもいいのなら」 「何じゃ?」 「ボクが念を使えるコト及びシロガネが念獣であるコト、ハンター試験に合格しているコトを他試験管にも口外しないこと」 「まぁ、いいじゃろ」 「このハンター試験が終わっても言わないで下さい。裏試験管にも」 「裏ハンター試験の事も知っておったか。ま、念も習得しているようだし良かろう」 これで大丈夫、かな?
「一つ聞きたいんじゃが、何故そこまで隠す?」 だって、ねぇ? 「44番ヒソカ、あの人にバレたくないんです」 大きな理由の一つ。バレたら(色んな意味で)死活問題。 「確かに危険人物ではあるな」 「知り合いがヒソカのコトを知っていて、目を付けられない方がいいと口を揃えて言われました。 受験者に念能力者は少ないので」 変に目を付けられて“青い果実”宣言されたら困るし。(あの変態的な視線を耐える自信は、ない) 「その為纏を解き、一般人のフリをしている、か?ならその格好もその為かの?」 帽子被ってマフラーで口元隠して眼鏡してたらやっぱ怪しいか。 「美醜を気にしてるかどうかは知りませんが、顔を覚えられたくないので」 気にしてる気もするけど。 ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ・・・もまだマシか。クロロにマチ、あとカストロ、だっけ?も美形だもんね。 「なるほど」 「別に格好に基準はありませんよね?」 それこそダメだというならヒソカやイルミをまず止めるべきだ。 「特にありゃせん。問題ないわい」 「ならよかった。では、僕はもう一眠りするとします」 「よく寝るのぅ・・・・」 「寝るの好きなので」 寝る子は育つって言うし。 「目的地に着いた時は放送がある」 「それを目覚まし代わりにします」 「よく身体を休めておくようにの」 「ありがとうございます。 あ、後の試験に失敗しても取り消さないで下さいね?」 「一度合格したものは取り消さん」 「なら良かったです」
主人公、ハンター試験合格(笑) なんだかんだ言ってある程度は鍛えられている主人公。 実は今現在なら体術だけでも殺し合いじゃない試合ならキルアといい勝負できるほどの実力はある。 メンドくさがりだし怪我するの嫌いだから本気も出さないだろうけど。(という無駄な裏設定) |