天災は忘れる前にやってくる85


「5、4、3、2・・・・・

撃てぇ─────ッ!!」

発射と同時に爆風で船が大きく揺れる。

・・・・・外、出なくてよかった。

下手したら海に落っこちてるかも・・・・シロガネに助けてもらえるから問題はないけど。(でも海水でベトベトになるのは嫌だ)

「──────機関室、40秒後にスクリューに動力伝達!!」

うわー、黙ってたらカワイイ美少女系だけど、揺れも気にせず途切れることなく指示する姿は凛々しいね。

第2射発射の時は舵の前で合図をする。

「5、4、3、2・・・・・

撃てぇ─────ッ!!」

 

“・・・・スクリュー始動確認!!”

 

「よし、いけるぞ!第3射の反動を利用して一気に岩礁を抜ける。

撃ち方用意!!

ってぇ────ッ!!」

岩が砕かれる音がすると同時に船が後進しだす。

「やった!!」

「よし、このまま・・・・ッ!?」

 

──────ガゴーンッッ!!──────

 

急に船に大きな衝撃が走り、その衝撃に投げ出され壁に激突する。

「ぐッッ」

反対の壁まで投げ飛ばされ、とっさに受身は取ったが背中と肩を強くぶつけてしまい息が上手くできない。

 

“───ブリッジ、どうした、何があった?!”

 

ハンゾーが何か言っているが肺に空気を送るのに必死で反応を返している余裕がない。

必死に息を整えながら辺りを見回すとクラピカがすぐ近くで倒れていた。

「ク・・ラ・・・ッ」

身体を引きずりながら何とかクラピカに近付き、怪我を確認する。

クラピカは頭から血を流していた。

「クラ、ピカ・・・ッ」

息はしているので、脳震盪を起こしているのだろう。無事ならいい。

船はどんどん傾いていく。舵を取らないと・・・・アニメではどうやって助かったっけ・・・?

痛む身体を叱咤して壁にへばりつきながら立とうとした時、傾きが止まった。

振り向くとギタラクルイルミが操縦していた。

 

「・・・・・・」

力が抜けて座り込んでしまった。

そーいや、オイシイとこ取りだったね・・・・・

でもいいの?顔イルミもままだよ?

「大丈夫?」

「ッ、う、あ、はい」

イルミに声を掛けられるとは思ってもいなかった為、とっさの返事が遅れる。

「そう、ならよかった」

「はぁ・・・・・・・・」

しっかし、マジ無表情なんだ・・・・・・

一度会ったコトあるけど、その時はまだ目見えてなかったから表情まで分かんなかったしなぁ。

「ねぇ」

「え、はい?」

何か用が?!

って言ったっけ?君、クロロの何?」

「・・・・・・・は?」

・・・・・クロロ?何故ここでクロロ?

「依頼があったんだよね。

『虎を連れた少年を殺さない事、ヒソカに近付けさせない事、危機に瀕している時は助ける事』って」

・・・・・・・・暗殺者に『殺さない』を依頼するか普通?

「ホントはキルアに近付くから殺すか悩んだけど契約しちゃったし、そこまでするってことは何かあるのかなって思って。観察してたんだけど、特に何もないし」

マジでブラコンだな!!近付くだけで殺すのかよ?!

前言撤回!クロロ、『殺さない』って依頼してくれたことに感謝します。

「一応クモで飼われている者です」

「・・・・・・あぁ、君『幸災の渡猫』?」

・・・・あぁ、久しぶりにその呼称聞いたなぁ。

「そうです」

「でも、前にあった時は女の格好してたよね?なんでそんな格好してるの?」

首を傾げながら淡々と聞いてくる。

うぅ、首コテンはヤメテ、悶えるから・・・・ッ!

「・・・女は目立つので。それに、あまり顔を覚えられたくない人がいるので」

「・・・あぁ、だから『ヒソカにバレないようにする事』なのか」

それも契約内容に入れてたのか・・・・そして、イルミにしてもヒソカの認識はそんなのなんだ・・・?

「まぁいいや、オレはお金をきちんと払ってもらえたら。それより、早くそっちのヤツ手当てした方がいいんじゃない?」

そっちのヤツ・・・・

「?!クラピカ!!」

ごめんっ、イルミの存在に驚いて忘れてた!!

「ッッ・・・・」

「って言っても、君も怪我をしているようだし無理か」

そーでした。自分も肩と背中思い切りぶつけたの忘れてました・・・・・

「もう少しだけ待ってて」

・・・・?

 

 

 

海も落ち着き舵を取る必要がなくなると、イルミさん自ら手当てをしてくださいました・・・・・・・

クラピカに包帯巻くだけでなく、ボクの背中と肩にシップを張って腕を三角巾で吊るしてくれたよ!!(背中を見せるのはかなり抵抗があったけどね!向こうは興味を示すどころか気にも留めなかったよ!!)

オレの事は誰にも言わないでねと鋲をチラつかせながらの脅迫お願いに慌てて首を縦に振る。

その返事に満足したらしくイルミは手に持っていた鋲を顔に次々刺していきギタラクルになった。

・・・・・・・・・・・き、気持ち悪~・・・・

ヒソカはなんでコレを面白いと言えるのだろうか・・・・変態だからかな?でもクロロも興味を示しそうだな。(変に気持ち悪いの好きだし)

ってゆーコトはクロロも変たi・・・止めとこう。こんなん考えてたのがバレたら何されるか分かんない。

カタカタ言わせ(鳴らせ?)ながらブリッジを出て行く。

「そうそう、怪我は1週間ぐらいで治ると思うよ」

・・・・・無駄に親切な暗殺者だな。

 

 

 

 

クロロさん、イルミさんに頼んでいたらしいです(笑)

 

Q.なぜ夢主が傷ついたか?
A.普通の攻撃では自動オートである程度守られる夢主ですが、今回はシロガネを仕舞っており纏も解いていた為、又、自然現象が起こしたことであり悪意がない為吹き飛ばされ、とっさに堅をするということを忘れていたので怪我をしてます。(つまりは修行不足)