「少し試験とは関係ないコトを聞いてもよいかの？」

茶と茶菓子（次はおはぎ♥）のおかわりを貰い、一息ついていた時だった。

「なんですか？」

「『幸災の渡猫』という名に心当たりは？」

「・・・・・・その名が何か？」

「おぬしがその少女の顔に似ててのぅ」

「そうなんですか？」

「“手に入れるとで莫大な幸(と不幸)が訪れる”という噂が一時期派手に流れ、念が関与されてそうだという事で協会の方で保護対象になっとる娘なんじゃが」

「はぁ・・・」

保護対象？監視対象の間違いじゃない？

「ある時を境にめっきり噂が流れなくなっての。故意に噂が消された様じゃった」

・・・・シャルとかしそうだよね。

「最後に流れた噂が“某盗賊団が所有している”、“目が覚めた”らしいんじゃが、何か知らんかの？」

「さぁ？そんな得体のしれないモノになった覚えはありませんので」

そう、『なった覚え』は一度もない。(知らない間に呼ばれているだけ)

「そうか、ならしょうがないのぅ」

・・・・・・・・すっげぇ白々しい。確信して言ってるクセに。

「その子がどうかするんですか？」

「弟子の一人が気にしておっての」

・・・・・・・・・やっぱり情報源ソースはそこか。

「・・・・・・お弟子は選んだ方がいいんじゃないですか？

でなければ責任を持って性格改善を行うべきです」

「アレぐらいクセがないと面白くないではないか」

ニッコリ笑いかけて伝えると、向こうも惚けた顔をしてきた。

「全くもってそうは思いませんけどね。自分と関わりのない所でヒッソリと腐ってくれればと思ってます」

寧ろ消滅してくれて構わない。

「あやつの念はとても役に立つから腐って貰っては困るのぅ」

「そうですか？自分の造り出した異空間の部屋に連れ込んで拉致って出られないように監禁するなんて性格がそのまま体現された様な念、必要ないと思います」

たとえキメラアント編で役に立ちまくろうが、必要だろうが、あの変態陰険腹黒眼鏡の念ってだけで要らないよね。

「フォッフォッフォッ、随分と嫌ったもんじゃなー？」

喧嘩売られて、盾にされ、押さえ込まれ、無理やりキスされたら誰でもそーなります。

「嫌いじゃなく嫌悪してます。私、知り合いには殺しをして欲しくないと思っていますが、あーゆー人に関してのみ見かけた瞬間に殺っていいと許可してしまいます」

まぁ、許可してもしなくても殺ってくれると思うけど。

「それはそれは。ココに呼んではスゴイ事になりそうじゃな」

楽しそうに言うセリフではないな。

「即座に逃げますよ」

「逃げ切れるのか？あやつの念を知っているようじゃが」

「意地でも何が何でもどんなに周りに被害が出ようとも犠牲者が出ても逃げます。

その後12人のA級賞金首けしかけます」

クロロに頼んだらきっと嬉々として実行してくれるだろう。

皆も喜んでハンター協会に喧嘩を売りに行ってくれるだろう。強いヤツ等と殺り合うのが好きな人達だから・・・・

「それは大変じゃな」

「そう思うなら止めて下さい」

えぇ是非とも絶対に。

「・・・・・・疑問なんじゃが、何をしたらそこまで嫌われるんじゃ？」

「逃げる為に人を拘束して盾にして変態行為を働いたらじゃないですか？」

「・・・・・あやつも少し変わった趣味をしているからのぅ」

逃げやがった・・・・

しかも、変わった趣味で済ませるんじゃねーよッ！！