天災は忘れる前にやってくる98


「ま、まぁ兄貴と戦えっていう方が酷だったな!」

「・・・・・・・・・」

「そうだ、落ち込む事はない。上の兄弟というものは中々追い抜けるモノではないものだ」

「・・・・・・・・・」

「おいキルア、そんなに落ち込むコトはねぇよ!お前なら次で楽勝だろ?!」

「・・・・・・・・・」

「キルア・・・・・・・」

レオリオとクラピカの言葉にも全く反応せず、暗い顔をしたまま俯き壁にもたれ掛かった。

 

「次の試合に移りたいと思います」

次はレオリオの試合か。

 

そーいや・・・・この試合で、ボドロさん死ぬんだよね・・・・・

 

「これ以上は延期は認めません。戦わないのなら相手側の不戦勝とみなします」

 

・・・・・・・・何だろ?なんかすっごく変な気持ち・・・なんでだ?

 

「・・・・・・いや、間を取って貰った事を感謝する」

 

・・・・・・・あぁ、そうか。

 

「では、ボドロ・レオリオの両名は前へ」

 

人が殺される瞬間を見るの、初めてなんだ・・・・・・・・・・・・・・

 

「あ、あぁ・・・」

 

クモの皆も人を殺す。

それは当たり前であり、今までも死体が転がっているコトはあった。

でも、何だかんだいって、自分達が手を汚す瞬間は見せないでいてくれた。

クロロが一回殺したけど、その時はまだ目が見えてなかったし、心配もしてくれてたよねー。

 

そっか・・・・・だからかな・・・・・

でも、

こんなトコ気にしてたら、やってらんないんだよね・・・・・

 

「では改めて、ボドロVSレオリオ、試合開し・・・・」

 

──────ヒュッ、パン、ドカァッ、ザザー・・・・──────

 

──────パシッ──────

 

『?!』

「ッ・・・」

「大丈夫?」

「なんとか・・・・・受け止めて下さりありがとうございます」

「うん。ちょうど飛んできたからね。

でもビックリしたや。少しは動けるんだね」

「自分でも驚きです。無意識の行動ですから。

まぁ、受け身も取れない状態で思いっきり吹き飛ばされましたけどね」

「キルアの腕を払ってカウンターを左腕でガードしただけマシなんじゃない?」

 

「「「・・・ッッ?!」」

やっと状況を理解したクラピカとレオリオが駆け寄ってくる。おせぇよ。

「大丈夫かッ?!」「どーなったらこっちにくるんだよッ?!」

「ボドロさんを突き刺そうとしてたヒュッキルアの腕を払い退けてパン、カウンターできた蹴りを左腕でなんとか受け止めたドカァッけど勢いまで殺せなかったらザザーッココまで飛ぶの」

「ではその腕は・・・」

「その結果。

もーマジ痛いチョー痛いバリ痛い激痛いヤバ痛い死にそーレオリオ医者志望なら今すぐ治して」

「ムチャ言うな!そんなにすぐ治せるなら苦労しんわ!!とりあえず、見せてみろ・・・・・・

折れちゃいないが筋を痛めてる可能性があるな。今すぐ冷やした方がいい」

「こちらへ。医務室ご案内します」

「うぃー・・・・」

 

「・・・・・ぁ・・・」

 

医務室に行こうとすると、カウンターで攻撃した相手がボクと分かった瞬間からただ茫然としていたキルアが声を出す。

イルミの影響で暗い表情のままのキルア。

・・・・・・・・なんか“雨の中の棄てられた子猫”に見えるのは気の所為?

「キルア」

扉の所で振り向き声を掛けるとあからさまにビクッと身体を震わせた。

「ボクは気にしてない。けどもし、謝りたいと思うなら、きちっと決着つけてから、ね」

「・・・・・・・・・」

そのまま部屋を出て案内されるまま医務室に向かう。(と言っても隣の部屋だったけど)

 

 

 

あーぁ、なんで動いちゃったんだろ。

止める気なんてなかったはずなのに・・・・

 

思ってた以上にまだ人が死ぬのに慣れてなかったんだね。

 

あー、止めちゃったから試験どーなるか分かんないや。(レオリオ、落ちたらゴメン)

医務室で治療を受けた後(包帯巻かれて三角巾で吊された。仰々し過ぎるー)、ゴンの様子を伺った。

・・・・うん、よく寝てる(気絶してるのか?)

寝顔も落ち着いてるし、痛みもそんなにないみたいだね。(凄いね~、コッチは筋痛めただけでもかなり痛いのに・・・)

しっかし、ミニチュア版ジンって感じだよな~。ジンの小さい時ってこんなんだったんだー?

そしてゴンもあんなんになるんだね・・・・

様、最終試験が終了致しましたので合格者にライセンスの説明を行いたいと思います。どうぞこちらへ」

「あ、はい」

試合、終了したんだ・・・

 

 

 

 

夢主、変な所で一般人のまま。