天災は忘れる前にやってくる102


指定された場所はメインストリートに面したカフェで、辺りの女性の視線が集まっているのを見た瞬間、思わず回れ右をしたくなった。

何でわざわざ外のテーブルにいるかなぁ・・・・髪の色変えてる茶髪にしてるし、服装もかなりカジュアルでパッと見、顔のいい大学生だけど・・・・

顔が良過ぎるのが問題だよね・・・・・

それにしても、外好きだよね。そーいや、皆とお茶する時は大抵テラスとか外の場所で飲むコトが多かったなぁ・・・・。

 

現実逃避をしていたが、いつまでもそうしている訳にもいかず、覚悟を決めて視線の中心部の所まで行く。

「・・・・ゴメン、お待たせ、ぇッ!?」

横に着いた瞬間腕を引っ張られ、クロロの膝の上&向かい合って両手で固定されていた。

なんて器用な・・・

クロロが周りには聞こえない程度で話してくる。

「このネコは長い散歩の中で色々してきたようだな?」

うんあのね・・・・

「腕まで痛めてきて、面倒事には近づくなって言っただろ?」

少し怒ってるのも分かってるしね・・・

「『すぐ向かう』と言っておきながら中々来ないし」

ちょっと(かなり)待たせたけどさ・・・・

「少し甘やかし過ぎたか?」

公衆の面前でオデコをくっ付けて見た目優しい笑顔で(でも笑ってない眼で)話すの止めて~ッ!!

「もう少し厳しく躾をするべきなのだろうか?」

「ごめんなさいお願いします謝るからこの体制どーにかして・・・・///」

は、恥ずかし過ぎるッ///

「ん?怪我だけでなく、熱もあるのか?」

この熱は顔が離れたら下がるからお願い~ッ!

 

 

──────ピロリロリーン♪──────

──────カシャカシャカシャッ──────

 

 

・・・そして、さっきから写真撮られまくってるのは何でッ?!クロロが一人ピンの時なら分かるけど何で今?!

 

 

──────『後から来たコの顔が見えないのが惜しいわ!』『でも、不細工だったら萎えるじゃない?』『バカね、一方がアレだけイイ男何だから相手もイイに決まってるじゃない!』──────

 

──────『あーん、携帯だと綺麗に撮れないわ!休憩時間だったからロッカーにデジカメ置いてきちゃったのに~ッ!!』『お姉様、よければ焼き増ししましょうか?』『ホントに?!是非お願い!!お金は倍額払うわ!!』──────

 

 

・・・・・・・ドコにでもいるんだね、腐を愛するこーゆー人種って。

「今日は周りがいつもと少し違うな・・・・」

クロロは顎を私の頭に乗せ、不思議そうに呟いた。

ソレさえもシャッターチャンスとばかりに撮りまくっている女性陣。

「目を引く青年が待ってのが男だった、ってゆーのがツボだったんじゃない?」

しかも来た瞬間、膝抱っこで固定コレだし。

「男同士でくっついているのがいいと?」

「今はまだペンダント付けてるから少年に見えるだろうしね」

恋人同士か似てない兄弟か。どちらにしても全く構わないだろうけど。

 

「・・・・目が見えるようになった頃の、時折が見せた感じに似ている」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え゛?

 

 

 

「・・・・・・・・・何の、コト?」

恐る恐る見上げると、再び視線を合わせてニッコリと微笑むクロロ。

「俺とシャルが話してる時とか、シャルがフィンからタバコの火を貰ってる時とか、あぁ、フェイとフィンがつるんでる時も時折見せていたな?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・アハ。

 

 

「気の所為じゃ、ない?」

「それはが一番よく分かっているだろ?」

 

・・・・・ハィ。

 

「まぁ、最近は何か諦めたのか随分少なくなったみたいだけど」

あはははは・・・・・バレバレ?

 

 

 

 

「それにしても、ここまでされると期待に応えない訳にはいかないな?」

そう言うと、変装用に着けていたマフラーを取られた。

「・・・・・・・・・・・・は?

いやいや応える必要ないから!むしろ応えるべきじゃないから!!顔隠すべきだからッ!!」

何を言い出すかなこの男は?!

「既にかなりの枚数撮られているし、今更だろ?」

クスクス笑いながら帽子も奪われる。

「今更じゃないから!何血迷ってるのさ?!」

「俺の相手が不細工と思われているのが心外でね」

「相手が男だと思われてるのはOKなのかよッ!?」

眼鏡も外され、残りはウィッグ(茶髪のセミショート・前髪長め)のみになった。

となら別に構わないけど?」

「それなら外見の美も構わないでくれ!!」

ウィッグの前髪を掻き揚げられ、顔が顕になる。

周囲に(何故か)緊張が走り、今にも唾をのむ音が聞こえてきそうな雰囲気になった。

 

「それは出来ないな、

 

 

盗賊として」

 

額にキスが落とされた。

 

 

瞬間、

辺りの空気の色が一瞬にして(紫系に)変わった。

 

 

──────『キャーッ!!///』『いい、いいわッ!!』『3次元の世界でココまで絵になるカップルがいるなんて!!』『この場にいてよかった・・・』──────

 

 

「・・・・・想像以上、だな」

想像通り、だよ・・・・・

「もう気が済んだでしょ・・・?」

「まだ軽いモノしかしてないのに?それに、周りもまだ足らない様子だけど?」

まだからかい足らんのか。

「彼女等の欲望を叶えようと思ったら、クロロであっても体がもたないと思うよ・・・・・?」

何せ彼女等は“萌え”を糧とする女子だから。

「仕方ないな、続きは二人っきりの時にでも「やらん!!」・・・このまま耳元で2時間ほど口説かれるか、口移しでケーキセット食べるか、二人っきりでヤるか、選ばせてやる」

「選択肢ないじゃん?!」

何その究極の選択肢ッ?!

1番は絶対悶え死ぬし、2番はそれだけじゃ済まなさそうだし、3番は露骨過ぎるよッ?!

「最後は人前じゃない」

「そこは元々の大前提だ!!」

見せないのが当たり前だろ!!

「別に今すぐココでヤってもいいけど?」

「しようとした瞬間ハンター教会に逃げ込んでクロロの居場所売るからね?!」

「冗談だ。そう本気になるな」

絶対嘘だ。半分以上本気だった!

「そろそろ行こうか。あまりいると声を掛けられそうだ」

彼女等の雰囲気、(色んな意味で)かなりヤバいもんね・・・・・・

「早く仮宿アジトに帰ろう・・・・・」

もう疲れたや・・・・・

 

 

 

 

自分が騒ぐのはいいけど自分で騒がれるのはまた違う、ってこと。
クロロも変装してるんだって(笑)