天災は忘れる前にやってくる105


「ま、お疲れさん」

黄昏ているヤンキーに近付く男が2人。

・・・・・・・なんかさー、一人はサングラスして長くて馬鹿でかい荷物持ってて、もう一人は左右が違う変な服着てるんだけどー・・・・・

「師匠・・・・」

あぁー、師匠ですかそうですかー・・・・・

「一般人なんかこんなもんだ。ま、中には逃げ出さない剛胆なヤツもいるけどな」

3人の視線がこちらに集まる。

「・・・・・・・・・・え?」

あれ?いつの間に全員いなくなってるの?

 

「ボウズ、随分と場慣れしてるじゃねーか」

しまった・・・・・・さっきの状況に慣れすぎて離れるのを忘れてた。

「い、いえ、逃げ遅れただけです。失礼しますっ」

慌ててデザートとドリンクを入れ、チビシロを肩に乗せ立ち去ろうと席を立つ。

 

 

「ちょっと待て」

・・・・空気読めよなヤンキーッ!!

「・・・・・・・・・・なんですか?」

「お前、その肩に乗っけているの、銀毛虎シルバータイガーじゃねーのか?」

「よく似てるって言われますが違います」

「嘘こけッ!!シルバータイガーの通称は“宝石獣”。額に宝石が嵌ってるのが何よりの証拠じゃねーか!!」

あぁ、だからジンもシロガネのおでこの石のコト気にしなかったんだ?

「シルバータイガーは捕獲も売買も禁止されている。どーやって手に入れた?!」

「起きたら傍にいました」

・・・・・・このやり取り既に前やったし。

「嘘こけッ!!しかもまだ赤ん坊じゃねーか!親はどうしたッ?!無理やり奪ったんじゃねーだろうなッ!!」

「奪ったのでも買ったのでもないことは確かです・・・・・・」

「ソイツが飛行船でウロチョロしてるのも見かけた。誰かに捕まえられて売られたらどうする?!責任も持ててねーじゃねぇか!!」

責任も何も捕獲される心配がないから勝手にウロチョロしてるんだろうが・・・・・・・・・動物に優しいのも性根はいいのも真っ直ぐなのも、チビシロこの子を心配して言ってるのも理解できるけどさぁ・・・・・

 

 

何か、すっごくムカつくんだけど・・・・

 

「シャーッ!!」

チビシロも警戒態勢を取る。

チビシロに歯を向けられたコトで少し情けない顔になったが、持ち直し、再び怒った表情を作る。

「待てナックル。一般のガキ相手に熱くなり過ぎだ」

ガキ相手じゃなかったらいいの?

「しかし師匠ッ!!あんな小さいのに親元から離されてるんですよ!!」

「親が死んでて一緒にいられない場合とかだってありえるだろうが。少し落ち着け」

「そう、ですね。すみませんでした」

あーぁ、やっぱりハンター協会のヤツ等、嫌い。

 

「ボウズ、その子虎のコト、詳しく聞かせてくれねーか?」

「こちらは話す事なんてないです」

「テンメェ・・・ッ!!」

「落ち着けって言ってんだろーが」

別に落ち着いてくれなくて結構。

「始めから勝手に嫌疑を掛けてくる相手に、何故話さなくてはならないのですか?こちらが既に答えたコトを信用しようともしない相手に」

「グッ・・・・」

「それはこちらが悪かった」

「別に謝罪して頂かなくて結構です、そんな形だけのモノ。貴方方と友好関係を築くつもりは更々ありませんし、これ以上一緒にいるつもりもありません」

 

「この子ども、オレ達と関わりを持ちたくないように思えます」

 

チッ、こんな時だけ小心者チキンか口挟んでんじゃねーよッ!!

「別に、暴力的な人達には近付きたくないと思うのは当たり前なコトじゃないですか?」

「確かに普通のコトかも知れねーが、ボウズはちょっと違う気がすんだよな。

・・・・例えば、オレ達が誰なのか知っているから離れたがっている、とか」

「「?!」」

マジでウザい・・・・・

「前にオレの同僚が奇妙なコトを話してな。自分の念能力を知ってるガキに会ったってな」

「なッ?!」「ッ?!」

「ソイツは幻影旅団の連中に気に入られてて行動を共にしているらしい」

「幻影旅団ッ?!」「・・・・・・」

「その時は保護できなかったが必ず保護したいと言っていたな」

 

なッ・・・・・・ッ!!

「ッッッ!!あんなヤツに“保護”されるぐらいなら、ゴキブリと共同生活した方がマシだッッ!!」

アレはヤダアレはヤダアレはヤダッッ!!

 

「ゴキブリと同列・・・・・」「そこまで・・・・」

「こりゃまたノヴも随分と嫌われたもんだな」

「あんな陰険変態鬼畜腹黒ロリコンマッド眼鏡なんてこの世から存在自体が消滅してしまえばいいんだッッ!!」

「陰険・・・」「ロリコン・・・・?」

「そこまで言うか・・・・?」

「逃げる為に人を拘束して盾にして嫌がらせの為だけに無理矢理キスした挙句『躾しましょうか?』とほざいたら誰だって認定されます」

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

「そりゃ、まぁ、なんと言うか・・・」「・・・・・・・」

「ど、同僚が失礼したな・・・・・」

同情なんていらねーよ!!

「なので、それでなくてもイメージが悪いのにアレと知り合いってだけで地獄行きです。

ですから、そんな人達に話す義務も必要も意思もありません」

話して欲しかったらヤツと縁切ってきちんと謝罪する意志を見せろっての。

あーぁ、これ以上この船乗ってらんないじゃん。(コイツ等と一緒にいたくない)

 

 

 

 

討伐隊組にいい感情を持っていない主人公。
ナックル達は特に嫌悪していなかったけれど、今回ので嫌いになった様子。
まぁ、始めから疑われ続けたら嫌になるわな。