天災は忘れる前にやってくる108


あー、シロガネがいて本気でよかった。こんな富士山と同じ高さがある山なんて登りたくないもんね。(そもそも手前の樹海にも入りなくないけど)

家は山頂にあった。

やっぱ山頂だったかぁ~。キルアが山のてっぺんにあるって言ってたもんなー。

玄関前でシロガネに降ろして貰う。

・・・・・・・デカい。巨人でも住んでんのかって思えるぐらいデカい。そして、呼び鈴ドコだ?

キョロキョロと呼び鈴を探し回るが見付からない。

仕方なく扉を叩く。

 

──────ドンドンドン──────

 

「こんにちはー、トラネコヤマトの宅急便でーす」

気分的にはそんな感じ♪

叩くのが面倒になりそろそろ不法侵入でもしようかとも思い出した頃、扉が開き、老人が出てきた。

「そんなに叩かなくとも開いとるわ」

ゼノさんだよね?

「開いてるからって勝手に入る訳にもいかないじゃないですか」

「別に構わん」

いや少しは構って?!

「構う奴なら執事が止めとる」

・・・・なるほど。

「せめて呼び鈴があったらあんなに叩かなくてよかったんですけどね」

「訪ねてくる奴がおらんのに付ける意味がないじゃろうが」

 

・・・・そうでした。

 

「して、お前さんがイルミの言っておった奴か?」

「多分そうだと思います。、とお呼び下さい」

「そうか、ワシはゼノという。イルミの祖父じゃ」

ゼノさんが話しながらも止まるコトなく歩き続けるので必然的について行く形になる。

石で覆われた、道が何本もある訳ではないのにどうなってるかよく分からず迷いそうな廊下。

・・・・・・かなり不気味なんですけど。

ってか、マジどこに連れて行かれてるの?!

「・・・すみません。ドコに向かわれているのでしょうか?」

「ん、言っておらんかったかの?シルバの所じゃ」

はぃッ?!

「イルミが言っておった本はシルバの部屋にあるからのぅ」

来るの分かってたんだから先に用意してよーよ・・・

「心配しんでも帰れるじゃろ」

心配より文句を言ってたのですが。

ってか、そこの心配しなきゃダメだったの?!

恐ろしいわゾルディック家・・・・・

 

 

「ここじゃ」

案内されたのはこれまた大きな扉の部屋。

廊下は狭いのに扉はなんでこんなに広いの?

「案内して下さり、(嬉しくないですが)ありがとうございました」

どうせなら玄関先で物々交換して貰えるのが一番よかったのですけど。

「色々と気を付けるんじゃな」

・・・・・・そんな意味深な台詞言い残して立ち去らないでよ。

このまま今すぐ回れ右して帰りたくなるじゃんか・・・・・

 

 

「ドアは開いている、入れ」

・・・・・・逃げるコトすら許されなかった。

そーだよなー。気付かない訳ないよなー。その筋のプロ?だもんなー・・・・・

はぁー・・・・・・・・・・・

諦めの境地に立ちつつもシロガネはいつもより少しだけ大きくさせ臨戦体制を取りながら扉を開ける。

部屋はは原作通りマンガに描かれていた風景が広がっており、ご当主もソファー?(ってゆーか機械化された所にクッション重ね合わしてる所)に座っていた。

うぅ、隣にいる犬モドキはいいけど(少しシロガネに圧倒されてるし)、反対側の宙にぶら下がってるのは微妙に見たくないかも・・・・

真ん中は威圧感たっぷりで見たくないどころか本当なら近付きたくないぐらいだけど。

・・・意識朦朧としてたとは言えこの方相手に真っ向から言い合ってたんだよな~、昔の私スゲェ・・・・。

でも今日は変装してるし、ペンダントで男に見えてるし余程の事がない限りバレ「今日は目の色が一緒なんだな」・・・・・・・・・

「・・・・・何のコトですか?」

「前に会った時はオッドアイ、確か、黄色とオレンジ、だったか?」

・・・・・あっれー、バレてるし。

「3・4年程前に幻影旅団の一人を殺った時にいたな。確か神経系の毒にやられて動けなくなっていたはずだ」

よく覚えておいでで・・・・

「誰かと間違われているのでは?」

「あの時いた子どもが幻影旅団に所有されている“幸災の渡猫”だという事なのは調べがついている」

「・・・・・・・それだけでボクが“幸災の渡猫”その子どもだと思われるんですか?」

「幻影旅団の目に適うほどの子どもがそう何人もいるのか?獲物となりえて自分達の傍において置けるほどの子どもが」

・・・・・まぁ、殆んどいないな。

「さぁ?どうでしょうね。ご想像にお任せします。まぁ、仮に貴方の思われてる者であるとしたら、どうかされるのですか?」

「ん、囲うのを打算する気だが?」

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

「前回はまだ身体つきも幼く鑑賞用にしかならなかったが、少しは成長したようだしな。耐えられるだろうと思ってな」

何にだよ・・・・・

ってか、その時から少しは考えてたってコトかよ?!

しかも堂々と浮気宣言ッ?!

奥さん怖すぎてこれっぽっちもそーゆー関係になりたいと思わないんですけどッ?!

「とてつもなく嫌な気配がするので今の発言は聞かなかったコトにします。そして、その前の発言の答えとして、『お断りさせて頂きます』」

「囲うとなったら生活に苦労させないぞ?」

さり気にブルジョワ発言か。

「今でも苦労はしておりませんので」

今でも3食昼寝おやつ付の好条件ですよ?

「宝石や綺麗な服なども貢いでやるが?」

「これっぽっちも興味ありません」

あったとしてもこれもクモにいる限り近くにあるけどね。

「普通とは少し毛の色が違うらしいな。では、『幻影旅団の暗殺依頼を受けない』という条件を付けると言ったら?」

・・・・・・やっぱり、裏の人間だね。(分かっていたけど)