天災は忘れる前にやってくる109


「それは魅力的な条件ですね」

「どうする?」

「そうですね、お断りさせて頂きます」

意外だという表情で見てくるシルバさん。この誘いで承諾すると思っていたのだろう。つまりは舐められてるってコトだよね。

「ヤツ等が狙われてもいいのか?」

「まぁイヤですし、平穏に暮らせる方が越したコトないですけど。

でも、立場が対等でない口約束を信用できる程、楽観的でもないので。

ましてや、本当に狙わないと確約している訳ではないのに」

「ほぅ、何故そう考える?」

「『幻影旅団の暗殺依頼は受けない』、つまり『団員を対象とした暗殺依頼は受けない』であって『個人を対象とした暗殺依頼は受ける可能性はある』ってコトですよね?」

「中々頭の回転は速いようだな」

ニヤリと笑って否定しない人に褒められても嬉しくない・・・・

「このような言葉のやり取りには慣れていますので」

言葉の裏を読まないとヤバいコトにする人達クロロやシャルがいて鍛えられてるのに、裏の世界のいかにも手強そうな人の言葉を素直に信じれるわけないじゃん

「では、お前が望む条件にしてゾルディックの名にかけて確約する、と言ったらならば?」

まだ言うか・・・

「随分と気前がいいですね?それ程の価値があるとは思いませんが?」

「自分のコトを随分と過小評価するのだな?」

「別に過小評価している訳ではありません。ただ、そこまでして望まれる事が理解できないだけです」

確かに顔は整ったモノになってはいるがクロロのほうが綺麗だろう。

「外見で手に入れたいと感じてる所に中身も気に入ったとなればこれぐらい安いものだ」

今のやり取りのドコに気に入る要素があったんだか。収集家の気持ちはよく分からない・・・・・

「そうですか、ありがとうございます?それでも、やはりお断りします」

「理由は?」

「私は彼等のモノ。私個人が決定できるコトではありません」

「お前をこちらに寄越している事が答えだとは思わないか?」

不安を煽るコトまで上手いな・・・・擬人暗鬼になった所を絡めとろうって?

「今回の条件は“本と薬の交換”。私は条件に入ってはいません」

「それは信用するのか?」

「依頼としての条件は守らなければ、仕事の信用を落としますよね?」

クロロがどうか仕事として依頼して条件を付けていますように・・・・

「仕事にしておきたいようだな」

「もし、始めから捕まえる気ならば話し合いはしませんでしょうし」

「毒を使えば済む事だからな」

「・・・・・そーですね」

ゾルディック家が使う毒なら逃げるのも難しいよな・・・・・・あれ、この家って鬼門じゃない?(いつでも毒で動けなくさせられる)

実は結構危ない橋渡ってる?

「今回はそういう事にしておいてやる」

内心超焦ってる事なんてバレバレなんだろうな。

シルバさんは立ち上がり本を持って近付いてくる。

シロガネが警戒体勢を取るが気にした様子もなく目の前に立つと本を差し出してきた。

本を貰い受け、代わりに薬を差し出した時、何故か顎を捕まれ上を向かされた。

「飼い主に伝えておいてくれ。『要らなくなったら買い取ってやる』と」

「・・・・・・・・・・・・自分でお伝え下さい」

眉をしかめ睨みながら返事をする。

シロガネ襲撃3秒前のカウントダウンを心の中でしていると、クックッと笑いながらも放された為未遂に終わった。

 

 

さて、用事も終わったしさっさとココから出るとし「ッッ?!」・・・・この声は。

「キルア・・・」

今日開放される日だったんだ?

「なんでお前がココにいるんだよッッ?!」

「・・・・・・・・・お使い?」

「はぁッ?!」

「トラネコヤマトの宅急便してた」

「なんだよそれ?!」

「まぁ色々事情がありまして、ゾルディック家にお届け物と預かり物を交換しに。

玄関で交換させて頂ければとても嬉しかったのですが、いえ寧ろ執事邸で受け渡して頂いても何も問題なかったはずなのですが、何故か本邸にまで呼ばれ、ご当主の所まで通されてしまい今に至るという訳」

少しばかり恨みも込めて厭味を言ってみるも、呼び出した当の本人は気にした様子もない。ちったぁ気にしろ。

「・・・・・・・」

「キルアは?凄い顔だけど大丈夫?」

これ以上突っ込まれないように無理矢理話を変える。後ろでご当主がフッと笑っている気配がするけど無視だ無視。

「あぁ、こーゆーのには慣れてるからな。親父に呼ばれてるって聞いて・・・・」

「キル、入って来い」

「んじゃボクはコレで」

「別にいても構わないが」

次は息子まで絡めて行く気か?

「父子水入らずの邪魔はできませんから」

これ以上ココにいたくないので。

、行くのか・・・・」

キルア、ちょっそんな不安そうに言わないで!!抱きしめて頭撫でくり回して頬ずりしたくなるから!!(変態認定受けそうだ)

ちょっと一緒にいてもいいかなぁって考えちゃうから!!

でもキキョウさんと遭遇するのは避けたいの!!

あの金切り声で話されるのもイヤだけど、一緒にいたら“大事な愛息子を毒牙に掛ける害虫”ってコトで殺されそうだから!!それでなくても、誰かさんが愛人話を持ちかけてきたから変に後ろめたいのに。(・・・・・・盗聴されてない、よね?)

「・・・・・・・・キルア、ゴン達が迎えに来てるんだろ?

ボクもキルアには(ゴン達と合流した頃か最悪天空闘技場で)会いに来るつもりだったけど、今は仕事で来ちゃったから。

仕事を済ませてもう一度会いに来るよ。だから先にゴン達と合流しといて?」

「・・・・・ぁ」

キルアはシルバをチラリと見る。

「大丈夫、本当に邪魔をするなら始めからゴン達を敷地内に入れないだろうから。

今回も怒る為に呼んだんじゃないだろうし。ですよね?」

「まぁな」

「だから、ね?」

「・・・・・・・分かった。後でな?」

「はいはい。

では、失礼します」

「伝言よろしく頼む、いつでも歓迎する」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうでしょうね」

忘れておく気満々だったのに・・・

 

 

 

 

キルアが来たってコトはキキョウさんがカルトつれて戻ってくるってコトだよね。

カルトは見たいけどキキョウさん本気で殺されそうな感じがバシバシするので帰ってくる前にトンズラしなきゃ。

「シロガネ、さっさとココから出よう」

「グルルルルル・・・・・」

シロガネに乗り込む。

 

シロガネは最短距離で玄関に到着すると蹴破る勢いで扉に突進した。

・・・・・・・・壊れなくてよかった。この家壊したら損害賠償スゴそうだ。

ニアミスもしないように空の上から門まで行く。

上から門を素通りしてもいいんだけど、試したいコトがあるので一度降りる。

周りに特に重要人物がいないか確かめて。

「いないな、よし」

扉の片方だけに力を、入れる。

「せーの・・・」

 

──────ズ・・・ズズズ・・・・──────

 

あ、動くみたい。

そのまま片方のみに力を入れて通ってしまう。2tなのでまだ余裕で開けれた。

さて、町に降りて本をどうにかしますか。

 

 

 

 

“キルアとシルバの血の約束”場面に遭遇してもいいかなぁと思ったのですが、キキョウさんが・・・・(笑)
なので止めました。