天災は忘れる前にやってくる116


持って帰ってきた本は、面白かった。

 

うー・・・・・・続きが気になる~!! 引き込まれるよーな話の展開なのッ!!でも3巻なしで4巻読んでも話が分かんないのッ!!

もっかい探しに行かないといけないのかぁ・・・・・・

 

 

 

、どうかしたのか?」

「クロロ、ナイスタイミング!これの3巻知らない?!」

「それはトリーショニカ戦記、か?つい最近見た気がするが・・・・・」

思い出せ~!!

「今探してる部屋で見た気がするけど?青地に赤の文字のヤツでしょ?」

「・・・・あぁ、そういえばあった気がするな」

「ホントッ?!よかった~。じゃあ、お願い」

「自分で取りに行きなよ」

「ムリ」

「・・・・・・いや、が自分で取った方がいい」

「何でッ?!」

あの恐怖の地下の更に先へ進めとッ?!

「“トリーショニカ戦記”、ゴルディ作の最後の作品。各巻3冊ずつしかない幻の作品で、シリアルナンバーが対になる分は同色で記載されている。

読者を虜にするが、全巻読むまでに他人が本に触れると読者に大いなる災いが降りかかる、と言われている」

「何それーッ?!そこは他人に降りかけようよ!!」

「全て読むまでは誰にも触らせるな!!っていう自己主張でしょ」

本がそんな自己主張するなよ・・・・

「という訳だ、行くぞ」

やっぱ読むべきじゃなかったのかなぁ・・・・・・

 

 

 

 

クロロとシャルの腕を片方ずつ持ち、できるだけ自分の足元だけを見るようにして地下を進んで行く。

うー・・・・・ここで動くミイラとか出てきたら私心臓発作で死ぬと思う。クロロとシャルがフザケて脅かしてこないのが唯一の救いだね。

 

 

、着いたよ、この部屋だ」

「入って左はなるべく見ないほうがいいと思うぞ」

「右側はまだマシだから・・・・」

・・・・・・忠告しないとヤバそうなモノが左側にあるのね・・・・・

「わ、分かった・・・・・」

右を向きながら部屋に入る。右側だけを見ていても少しグロテスクなモノが視界に入るが何とか耐える。

「本は・・・・・」

「正面の壁の右斜め上だ」

右斜め上・・・・あった。

背伸びをしてギリギリ届く位置にあったので手を伸ばして本を取る。

「あった・・・・」

ホッと一息ついて再びそろそろと戻りだした。

うぅ、マシって言ってもやっぱ気持ち悪いよぅ・・・・

泣きそうになるのを何とか耐え、扉に向かう。

 

 

 

その時、ある物がチラリと視界を掠めた。思わず立ち止まり、その掠めた物を凝視する。

 

・・・・・・あれ、は・・・・・・・

 

「どうかした?」

「何か気になる物でもあったか?」

液に満たされたケースに浮かぶ二個の球体。

 

その色は、

 

 

 

 

 

 

緋色

 

 

 

 

 

 

「クロロ・・・・・・・・・・・あれ・・・・・・“緋の眼”?」

「あぁ、そうだ」

よく知ってたね?」

「・・・・・・・・あれ、頂戴」

「あれ、一つだけ残して全部売っちゃったヤツだよね。今じゃ中々手に入らないからプレミア付いてるよ?」

「世界七大美色に数えられていて収集家の中では喉から手が出るほど欲しいと言うヤツもいるな」

「ちょうだい」

「・・・・・・・そんなに欲しいのか?」

「ほしい」

、気持ち悪くないの?」

「怖いしはっきり言って近くに置いておきたくないと思う。でも、欲しいの」

今これを見つけたのは偶然ではないだろう。

プレゼントにも取引にも・・・・脅迫の材料にも使える物だ。

それに・・・・・・・

 

ココで埋もれているなら、クラピカに返してあげたいと思うのは、偽善だろうか・・・・・?

 

「・・・・・・・まぁ、いいだろう」

「いいんだ?団長、そこそこ気に入ってなかったっけ?」

「その色は飽きてきたからな」

「・・・・・・・・ありがとう」

 

 

シャルに緋の眼のケースを持って貰い(自分で持つのはやっぱり気が引けた)、本を抱えて上に戻る。緋の眼を適当な布で包み見えないようにする。

コレでよしっと。

緋の眼を邪魔にならず且つ安全な場所に置いておく。

ふー。何かかなり精神力を使った気がする・・・・

ま、お楽しみの本も手に入ったし、予想外の収得物もあったし、よしとしますか。

 

 

 

 

夢主、緋の眼見つける、の段。

本の呪いはもちろん念です。しっかし、自己主張の激しい本だな(笑)