天災は忘れる前にやってくる117


自分の部屋として使っている部屋のソファの上に座り、例の本を読んでいた。

無事読み終り満足感を味わっていた時、誰かが部屋に近付いてくる気配がして、ドアの方を見る。

 

「もー、絶対見つかりっこないって!」

声を荒げながらドアを開け、勢いを殺さずシャルが抱きついてくる。

「腹を立てるのは勝手だけど、一々私を巻き添わないでくれない?」

男一人分の重量に耐え切れるはずもなく自分も一緒に倒れこんだ。

「だって、自分が必要なクセに、当の本人は久しぶりに見る宝眺めたり本を立ち読みしたりしてちっとも進めようとしないんだもんッ!!」

・・・・・あれだよね、部屋を整理しようとしたら色んな物が目に付いて中々進まない原理と一緒。

「で、付き合いきれなくて上がってきた、と?」

「・・・・・・・・俺の方の用事も終わってないんだもん」

「じゃあしてきなよ、いつまでも私に引っ付いてないで」

「ヤだ。充電しないとやる気が起きない」

私は電気か。

 

 

ギュウッと力が強くなり、抱きしめると言うよりしがみつく感じになった。逃れるのを諦めて脱力する。

抵抗する気がないトコが伝わりシャルは力を緩めの肩口に頭を押し付ける。

何か子ども返りしてる・・・・

シャルの頭に手を伸ばし母親が子どもを慰めるように頭を撫でる。

前から思ってたけど、シャルの髪、やっぱサラサラだ~。きもち~。

「・・・・・・・なんかスッゴク子ども扱いされている気がするんだけど」

「イヤ?」

「・・・・・・・こんなコトされたことないから変な気分」

まぁ、寝るSEXするだけの女性にはされないよな。

「悪くはないでしょ?」

「・・・・・・・・・まぁ、ね」

声が少し拗ねている雰囲気だったが拒絶の反応はなかったので撫で続けた。

ココで子守唄とか歌ったら寝るかな?

 

──────ゆりかごのうたを かなりやがうたうよ ねんねこ ねんねこ ねんねこよ・・・・・・・──────

 

「・・・・こもり、うた?」

「私が知ってるの、コレだけなんだよね」

「・・・・・・なんで子守唄なのさ」

「シャルが疲れてるように見えたから」

 

疲れてる=寝るのが一番=寝る時に唄う歌=子守唄

 

「・・・・・・子どもじゃなくて赤ん坊扱いじゃんかそれ」

今の状態分かっててそれ言ってる?

「お望みなら背中をトントンもしてあげるけど?」

「・・・・・それはいい、遠慮する」

「そう?」

まぁ、人とくっ付いてるだけで落ち着くしね。

「・・・・・・さっきの、続き唄って」

「子守唄?」

「オレ、子守唄なんて聞いたコトない」

「私も全部覚えてる訳じゃないけどね」

「いい、唄って」

「はいはい・・・・」

 

 

ゆりかごの歌はすぐに終わってしまったので、その後も童謡や子守唄代わりになりそうなゆったりとした曲を歌い続けた。

シャルは寝るコトはなかったが力を抜き身を預けて聴き続けた。

「・・・・・色んな歌、知ってるんだね」

「そーだね、学校で習ったのもあればテレビやラジオからのもあるし、好きだからなんとなく覚えたのもあるよ」

カナリヤの歌は音律が好きで何となく覚えたモノだ。

「自分で唄いたいとは別に思わないけど、が唄ってるのを聴くのはイヤじゃない・・・・・」

「少しは気分転換になった?」

「んー・・・・・ー、このまま一緒に寝よー?」

「・・・・・・・・・・・・・・睡眠する、と言う意味なら構わないけど」

きちんと意味を限定しておいた。下手に答えると言質を取られるからね。

「今はSEXしたい気分じゃない」

ならばよし。

「分かった」

「もう一回唄って、あの子守唄・・・・・」

「はいはい」

大きな子どもの要望に応えるべく、再び唄いだす。

 

 

 

 

子守唄の他にも大きな古時計・お星さま・七夕さま・翼をください・雨降りクマの子などを唄ったと思われる。
幼稚園や小学校で習った、よね?
あと、水の証・静かな夜に・風のうた・Motherlandとか?(腐女子設定ですのできっと知ってるはず☆)
その後のオマケ話こちら→
因みに、エロはないからね(笑)