天災は忘れる前にやってくる129


店の中で通されたのは広めの個室。

「でもさ、メンチさんがいるとは限らないんじゃない?」

今更だけど聞いてみる。

「確認済み」

・・・・抜かりないですね。

予約した時にコースを頼んで置いたらしく10分もしない内に料理が運ばれ始めた。

「くー、やっぱおいしー」

幸せ~!

「本当、とっても美味しいわ」

「これは来て正解だね」

「食材の味を最大級に生かしてあるな・・・・・」

「流石予約が取れない店に常時入ってるだけあるね」

そーなんだ?

「よく予約取れたね?」

が貰った名刺のコト言ったら、簡単に予約取れたよ。良いモノ貰ったね」

へー、ラッキー。って、勝手に使ったのね・・・

 

 

 

あまりの美味しさに皆全てを平らげ、食後のデザートを楽しんでいると部屋の扉を叩く音が聞こえた。

「どうぞ」

「失礼します。本日は当店にお越し戴きありがとうございます。

満足して頂けたでしょうか?」

入ってきたのはシェフ姿のメンチさん。

「えぇ、とっても美味しかったです。こんなに美味しい物を食べれるというのは、今日の幸運を感謝したいですね」

好青年風にクロロが装って微笑んで応えると、顔にやられたらしくメンチさんは顔を赤らめた。

詐欺者め・・・・

慌てて逸らしたメンチさんの視線が自分の前で止まる。

「・・・・・・・・・167番?」

疑問系?あ、今本来の姿だった。

「はい、お久し振りですメンチさん。試験の時はお世話になりました」

「・・・・・・女だったのね」

「試験は変装して偽名で受けさせて貰いました。改めて、と申します」

「あ・・・・そう」

、親しいの?」

「2次試験の試験管で、4次試験の時も評価つける試験管として傍にいてたよ」

「あぁ、そーいやオレの時も最後の方の試験の時は一人ずつに試験管付いてたや。絶も動きも素人臭くって、結構イラついた覚えがある」

それはご愁傷様。

「貴方も、ハンターなんですね」

「ライセンスは持ってるよ」

「・・・・?(“ライセンスは?”)一体どういうご関係ですか?」

あー、聞いちゃった・・・・。

「オレ達はコイツの保護者ですよ」

「保護者ですか・・・・・って、まさ・・か・・・・・」

どんどん顔色が変わって良くメンチさん。

「そのまさかです」

「あれ?オレ達のコト知ってるの?」

教えちゃった。

「いえいえいえいえいえ滅相もない何にも知りませんッ!!」

表情が言葉を裏切ってるよ・・・

「大丈夫だよメンチさん、そこまで焦らなくても」

がお世話になった人に危害を加えようとは思わないわ」

「そうそ、が迷惑被ったとかならともかく」

「寧ろ迷惑を掛けたんじゃないかい?」

あっ、マチそんなコト言う?

「失礼な。そんなに迷惑掛けてない(はずだ)よ」

多分・・・?

「だといいがな」

「・・・・・・・仲、良いんですね」

蒼白な顔になりながらも好奇心に負けて言葉を挟む。

「意外と大切に思っているよ。手出しされようものならソイツをこの世から排除しようと思うぐらいには、ね」

「・・・・・・・・・」

脅さない脅さない。余計顔色悪くなっちゃったじゃん。

 

 

「あー、美味しかった。ごちそうさまでした!!」

デザートも美味で満足です!

「コレだけ美味しいとまた来たくなるよね」

「あぁ、是非とも今後も利用したいな」

「お気に、召していただいて、なによりです・・・・・・」

顔の良い二人シャルとクロロに微笑まれて顔を赤くすればいいのかA級賞金首クモに気に入られ為青くなればいいのか判断できかねてるメンチさん。

「二人共、あんまり人をからかうんじゃないよ」

何かデジャヴがするのは気の所為か?(昔よくされていたような)

「予約取らしてくれなくなるよ?」

「それは困るな」

おぉー、随分気に入ったんだね。

「ま、またのお越しをお待ちしております・・・・・・(お願いもう来ないで・・・・・)」

メンチさん、心の叫びが駄々漏れだよ・・・・・

「ゴメンねメンチさん、連れてきちゃって。でも、メンチさんの料理本当に美味しかったから皆と一緒に食べれたらなぁと思ってたんだ」

「・・・・・・・・・これからもお客としてだけ来てくれるなら歓迎するわ」

“だけ”に気持ちが入ってるねぇ。(まぁ、A級犯罪者達と関わりなんか持ちたくないよね・・・・)

「これからはこの近辺での仕事は控えるようにしよう」

「・・・・・・・・(“仕事”ですか・・・)よろしく、おねがい、します」

あはははは、ごめんね?でも、また来ると思うから、その時もよろしくお願いします。

 

 

 

 

店から出た後、皆でまだ飲むというのでホテル部屋を二つ取り、片方の部屋で飲み明かす事に。

ホテルを用意している間にシャルとマチが酒を調達し(相変わらず大量)、そのままなし崩しに飲み会に突入した。

私用に盗って来てくれた酎ハイをチビチビ呑みながら雑談している彼等を眺める。

皆、お酒好きだよねー。このメンバーだとイメージ的にはバーでウイスキーとかカクテルとか飲んでても全然可笑しくないのに、ビールとかだもんなぁ。

「どうしたの?」

「このメンバーだったらホテルのバーとかでも良かったんじゃない?と思って」

格好も合ってるしさ。

「「「「面倒」」」」

そんな異口同音で答えなくても・・・・

「これ以上堅苦しいのもね」「さっきので充分だよ」

「それに、先程と比べたら次の店が可哀相だろ」

「つまり、メンチさんの店と味を比べちゃって美味しく呑めないからどうせだったら安い酒でも楽に飲みたい、ってコト?」

「このメンバーだと店に入るのは問題なくても否応無しに注目は集めるだろうからね」

まぁ確かに、全員がこんな美男美女の集団だったら皆注目しちゃうよね。バーに個室なんてなさそうだし。

しかし、呑むねぇ・・・・・既に10本以上空いてるよ・・・・・・・

、眠くなったら寝なさいね」

「うん、明日にはまた戻るしそろそろ寝るよ」

「えー、天空闘技場に戻るのー?もぅいーじゃんかぁー。オレと背徳の日々を「も・ど・る・の」つまんなーい」

「シャル、止めなさい」

「団長が許したんだろ、シャルがとやかく言うんじゃない」

「うー・・・・でもオレはともっと一緒にいたい~」

いつものセクハラとは違う感じに抱き付き髪に擦り寄ってくる。

シャル、酔ってるから少し子どもっぽいよ。

「すぐ戻ってくるからさ」

「絶対ね」

「はいはい」

 

 

 

 

 

その後、飲み会は明け方まで続いたらしく、起きて別れの挨拶をしに行ったら全員が撃沈していた。

今狙われたらかなりの打撃になるよね・・・・・・・

 

 

 

 

挟みたかったメンチの店話。
きっとこれからもちょくちょく現れるんだよ。(笑)