天災は忘れる前にやってくる132
その日の夜。 「それで、どう自由にしていたいんだ?あのメールも関係してくるのだろう?」 あ、そーいやどうして欲しいか具体的に伝えてなかったや・・・・ 「そ。一番の理由は変態奇術師に少しでも目を付けられ難くする為。 だから私あまり喋らないし表情も変えない人形っぽい感じでクロロの傍にいるつもりだから、守ってね? んで、旅団全員が集まった時には“幸災の渡猫で飼ってるコト”と“基本放し飼い”って言ってくれたら嬉しい」 「そこまでして『やりたい事』は何だ?」 「以前から言っていた『叶えたい未来の為』だよ」 「・・・それで、動き易くなってする事は俺達の邪魔なのか?」 相変わらず鋭いね・・・・ ってか、私の性格を読まれてるのか。 「・・・・・・・邪魔だと思われるコトも少しはある、かも?」 「疑問系か?の中ではそれは確定になっているのだろう?」 う、やっぱりバレてる・・・・・ 「クロロならそれはそれで面白いと思うでしょ?」 「・・・・ふ、好きにしろ」 まぁ私もクロロの性格を少しは理解しているけどね。
と思っていたんだけど、まだまだ全然及ばなかったらしい・・・・・・ 朝、起きたら女物の服がズラリと並んでいた。 「何これ・・・・?」 「“人形のようになる”んだろ?色気も何もない服装で傍にいられては俺の趣味が疑われるんでな」 もう私は常日頃からクロロの趣味を疑っているよ・・・・しかも並べられているのは・・・・ 「何で全てゴスロリ風?のワンピースなのさ?」 ヒラヒラフワフワ・・・・・・・の割に肩とか背中とか脚とか露出度が高い。(ゴスロリですらない) 「俺の連れで人形のようにと言ったらこんな感じのも物を用意された。目的は果たせるだろ?これを着て髪を下ろして無表情でいれば充分人形らしく見える」 ・・・・まぁ、確かにコレ着て髪下ろして無表情でいればには結び付かないだろうけど。 ・・・・・・・どの服が一番マシかな? 「さ、選ぶとするか」 「え、クロロが選ぶのぉ?!」 「何か不満か?」 不満とゆーより不安・・・ 「出来るだけ動き易くてヒラヒラの少ないモノを・・・」 ニヤリと笑うクロロ。絶対に趣味に走る気だぁ~ッ!! 何度か言い合いをした結果、中でもヒラヒラが少なめの黒い服で落ち着いた。 スカート丈超短いけどッ、肩も出てるし胸元も開いてるけどねッ!!
「そーいや、何日に集合なの?」 「8月30日」 「あ、今日なんだ?」 「と、皆には伝えたはずなんだがな・・・・・」 「・・・・集まらなかったの?」 「マチ、フェイタン、フランクリン、ノブナガが遅れると連絡が入った」 あぁ、そーいや郊外歩いてたね。 「あと、パクノダとシズクが服を買い漁って、シャルがパソコン用の機材を揃えるから遅れるとも連絡が入った」 集まるの半分以下じゃん・・・・ 「この様子だと集まるのが難しそうだから集合を9月1日に変更した」 皆マイペースだねー。まとめるの苦労しそう・・・・団長は大変だぁ。 「俺も来る途中、興味深い本を5冊程入手したからどうしようかと思っていた所で丁度良かった」 ・・・・・団長自体が超マイペースだからしょうがないのか・・・
──────9月1日──────
仮宿に続々と集まってくる幻影旅団のメンバー。 全員団長であるクロロに一言掛けてから自分の好きな場所に散っていく。 私の位置は本を読んでいるクロロの横に背中を預けて座っている。 手にはワザと見え易いようにオーラを纏わせた白い虎のヌイグルミ(ってかチビシロを人形に見立ててるだけだけど)、無表情にしてボーっといれば人形の様にみえる(はず)。 私の存在を知ってる者はメール通り私を見ても素通りで、知らない者は胡乱気に見て行く者もいる。 中でもヒソカは殺気と興味の視線をビシバシ飛ばしてきた。が、それらを全く相手にしないでいると興味が逸れたらしく離れて行った。 普通団長の隣にいるだけで殺気飛ばすか?(・・・・・フェイタンなら飛ばすな・・・・・いや、行動にも移すか・・・・) しかし舐め回すよーな視線はいらん、鳥肌立ちかけたじゃんか。 あー、気持ち悪かった・・・・(ゴン達はやっぱすごいね)
「全員揃ったな」 クロロが本を閉じて視線を前に向ける。 それに合わせて凭れ掛かるのを止めるとクロロは立ち上がり前に出た。
「今回狙う獲物は、
全部だ。
地下競売のお宝丸ごと掻っ攫う」 クロロの言葉に場の空気が変わる。 そして、ウボォーギンの全身に力が入り出す。 「本気かよ団長、地下の競売に手ぇ出すってコトは世の中の筋モン全部を敵に回すコトになるんだぜッ?!」 「怖いのか?」 んな訳あるか。 「嬉しいに決まってるだろ!!命じてくれ団長、今すぐッ!!」 ウボォーは口の中を切るほど強く噛み締めている。 どんだけ・・・ 「俺が許す。殺せ」
──────『おぉーッ!!』──────
ウボォー煩いよ、建物壊れたらどうするのさ。(ココ廃墟なんだよ)
「あ、団長」 次に襲撃班と待機班に別れようとしていた時、シズクがクロロに声を掛けた。 「何だ?」 「それ、なんですか?」 指差されたのは、私。 モノ扱い、クスン。(まぁ今更だけど) 「あぁ、全員に伝えてなかったな。だ。 知ってる者もいると思うが、少し前から傍に置いている。『幸災の渡猫』と言ったら聞いた事がある者もいるだろう。 基本放し飼いにしているが見えてない所だからといって勝手に手を出さないように」 ナイスだクロロ、伝えるだけじゃなく牽制もしてくれた。 「・・・・人形ですか?」 「いや、人間だ。基本は俺の傍にいるが俺が離れる時は数名に世話を任せると思う」 「あたし生きた人形の世話なんてしたことありませんよ」 だから人間だって・・・ 「誰も忘れっぽいシズクに頼まねぇよ」 「飯所か存在も忘れちまうんじゃねーか」 フィンクスとノブナガが突っ込む。 「えー、忘れっぽくなんかないよー?」 ・・・・・ 「分かった分かった」 フランクリンがシズクの頭を撫でて窘める。シズクは不満そうにしているが一応黙った。
「じゃあ、その時はボクが面倒を見てあげるよ☆」
その言葉にヒソカを毛嫌いしている者が殺気立つ。 「誰がお前に面倒を任せるかよッ!!」 「アンタに任せたらどうなるか分かったもんじゃないね!」 「ヒドいなぁ♣ボク、面倒見はいいんだよ☆」 ドンドンこの空間の殺気が増していく。 あと数瞬で武器が飛び交いそうになった時、やっと制止の声が上がった。
「止めろ」
鶴の一声で皆の動きが止まる。(殺気がなくなった訳ではない) 「誰の世話になるかはが自分で決めるだろう。今騒ぐ必要はない」 そーそー、命令されてもヒソカに世話されるのは嫌だよ。(何の為にバレないよーにしてると思ってるのさ) 「ッチ」 「♠」 「分かったら今日の夕方オークションを襲撃するメンバーを言うぞ・・・・」 やれやれ。まぁ、何とかマシな方向に進んだかな?
旅団メンバーと全員対面。 集まるのを8月31日と迷ったけど、そうすると空き時間が長いので9月1日に。 無表情の下で意外と色々思っている夢主。 |