天災は忘れる前にやってくる168


「こんちは~」

キルア達に案内された部屋にはクラピカとレオリオ、それにセンリツさんがいた。

あ、思った以上にクラピカ元気そうだ、罪悪感がない分心労が少ないのかな?

ッ?!」

「違うよレオリオ、だよ」

「あ?あぁそうか悪ぃ」

「別にどっちでもいーって。それよりクラピカ、体調はどう?」

「まだ少し身体は怠いが熱も下がったし動けない程ではない。
の方こそ大丈夫なのか?」

他人の心配までできる程度には回復してるみたいだね、よかったよかった。(まぁクラピカなら無理してでも他人の心配をするか)

「私は他人のオーラでも回復できるから心配いらないよ。
でもよかった、思ってた以上に体調良さそうで」

「心配をかけたようだな」

話しているクラピカの表情に疲れの様子は見えても陰りはなく、穏やかだった。

「今日はね、皆に話したいコトがあったからきたの。
できるなら皆一緒に聞いてくれる方が嬉しいけど、クラピカがしんどいならまた今度にするよ」

「私の方は心配いらない。全員が集まれる機会はこの先分からないし、大事な話なのだろ?」

「・・・・私にとっては重要だけど、話的にはかなり突拍子もないってゆーか、信じ難いってゆーか・・・」

「はぁ?」

だって、確かに“念”とゆーある意味何でもありな力がある世界でも、夢物語のよーな話であるコトは確かだもん。

「クラピカ、私はバショウ達と連絡を取ってくるわ」

「あぁ、すまない」

「色々と用事も済ませてくるから、夕方にまた戻ってくるわね」

センリツさんは遠回りに席を外してくれた。

大人な対応だなぁ・・・・

「ありがとうございます」

「いいのよ」





センリツさんが部屋を出て、もう一度残るメンバーの顔を見回す。

「ホントに突拍子ないよ?」

「まぁ信じる信じないはさておき、話してみればいーじゃん」

キルア・・お気楽に言うけど、信じて貰えなかったら精神異常者だよ?

「・・・まぁ話すつもりで来たから話すけど」

嘘じゃないからね?嘘のよーな話ではあるけど。

「・・・・じゃあ話すけど、話し終わるまでなるべく口を挟まないでね。質問は話し終えた後に受け付けます」

じゃないときっと最後まで話が進まないから。

「実は・・・・・・・──────」





違う世界からきたコト、元の世界にこの世界のコトが描いてある物語があったコト、気が付いた時にはこの世界にいて最初に旅団と出会ったコト、旅団との関わりと日常・・・・・





「・・・とゆー感じです」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・ホントに?」」」」

「事実は小説よりも奇なり、ってね」

奇過ぎな気もするけど。

は異世界から来たの?」

「そうだよ、生まれも育ちも日本って所だし、ハンター文字どころか賞金首ブラックリストハンターや美食家グルメハンターなんて職種すらない世界だったよ」

まぁ珍獣ハンターはいたけど。

「この世界の物語ってどんな話なんだよ?」

「えっと、主人公がハンター試験を受けようとする所から始まって、信頼できる仲間を増やしながら心身共に強くなっていく話?」

纏めるとそんな感じだよね。

「・・・・・・その物語に、私達についても書いてあったのか?」

「えッ?!」「マジで?!」

流石クラピカ、凄い推察力だね。

「・・・そうか、確かにそれだと色々納得がいく」

クラピカの言葉にキルアもピンと気付いた顔をする。

やっぱりキルアも気付いたか。

「どうして?」「何に納得がいくんだ?」

キルアとクラピカはゴンとレオリオの全く理解していない様子に大きく溜息をつく。

二人は、まぁ・・・・ね。

「ったく・・・・ハンター試験で変に余裕あったり変なコト知ってたりしただろーが」

「うーん、したかなぁ・・?」

あー、キルアといる時にだけ色々言ったりしてたけど、ゴン達とはそこまでバラしてなかったもんね。

「私の念能力を知っていたりもした」

「あッ確かに!!それでか!!」

「まぁそーゆーコトです。
だから、クラピカが旅団を恨んでいる話の時その場にいなかったけどどんな内容を話したのかは知ってるし、ヨークシンでキルアとゴンに会ったのは旅団の借宿だけどどーゆー経緯で旅団を狙い出したのか知ってるよ」

「・・ってコトは、やっぱりクラピカを狙ってハンター試験を受けたのかよ?!」

話をやっと理解したレオリオが問い詰めるように叫ぶ。


「それは違うと思うよ」「レオリオ、考えが短絡過ぎる」「もうちょい頭使えよ」


が、私が返事をする前にゴン・クラピカ・キルアから同時に否定する。

「なんでそー言い切れるんだよッ!?」

3人からの即答の否定に短気なレオリオはイラつきながら聞き返した。

が本当に私の命を狙ってハンター試験を受けていたなら、何度も機会はあったはずだ。それこそ、試験会場に降りる為のエレベーターでも」

「一次試験のマラソン、二次試験の材料探し、軍艦島の脱出騒動、四次試験のサバイバル、ならいつでも殺せただろうしシロガネにやらせりゃもっと早い」

一番楽なのは隠をさせたシロガネに一次試験会場にエレベーターで降りてきた瞬間を狙ったら確実かな?いやむしろメシ処ゴハンに入ろうとした時の方がヒソカにもバレなくて済むから楽か。

「~ッ、ゴンはどーして違うと思ったんだよ?!」

がそんなコトしないのレオリオだって知ってるでしょ?」

「そうだけどよぉ・・・」

・・・・・何だかんだ言ってレオリオも信用してくれてるんだよね。

「・・・レオリオの言ってるコトも間違ってはないんだよ。殺しは嫌だし可能ならば除外しようとはしてたけど、選択肢として含まれていたのは確かだしクラピカを見る為に試験に参加した」

クモのコトを考えると、先程考えた方法で殺っていた方が安全で確実だったのも分かっていた。

でも・・・・・



「殺したくないと思った。

どんな性格かは何となく知識っていたけど、実際会うと違ったりするから確かめてみたかった。

始めは知り合う気はなかったんだよ?遠くで眺めるだけで終わるつもりだった。

まぁ、ちょっと予想以上に深く関わるコトになったけど・・・

でもその分よく知るコトができて、やっぱり“皆が無事”でいて欲しいと思ったんだよね。

クモは大切だけど君等も好きだから・・・だから、そーなるよーに動きました」

「・・・・変に疑っちまって悪かった」

凄いバツの悪そーな顔で謝ってくる。

「気にしてないよ、そー思われても仕方がない行動だったし」





「・・・にとって、旅団とはなんだ?」

クラピカが真剣な目で尋ねてきたので、真っ直ぐに見返してありのままの思いを伝える。

「飼われてる身でもあるし、種族の違う家族、かな? やっぱ根本の考え方は違うんだよね。

でもずっと面倒見てくれたし、関わってきたから大切だと思うし、世間からどれだけ凶悪な犯罪者だと言われていても死んで欲しくないよ。

もし、彼等の所ではなく違う所にいたとしたら、また違う結果になったかもしれない。
全く自由がなかたったら、ただのお宝としてしか見られていなかったらここまで思い入れはなかったかもしれない。

でも実際は、彼等の所にいて、自由があって、私のコトを思ってくれているから。
極悪非道と言われているのに、私の前では極力殺しを控えてくれる彼等だから。

私は彼等のコトが好きだし大事だよ。

彼等の傍にいるのが日常だと思えるし、彼等が殺されたら復讐だって考えるかもしれない。それぐらいには思っている。

でもきっと、彼等はもし自分が殺されてクモの仲間に復讐を望んでも私にはさせないと思う。
私に手を汚させたくないと思ってくれる程には情を持ってくれているのを知ってるから。
そんな風に思ってくれる彼等が大事だし大切だと思ってる」


「・・・・・そうか」

「クラピカの気持ちを知っていながら情に訴えるのは卑怯なのは分かってる。

でも、クラピカなら訴えられてくれると思ったから。

復讐を望んでも、優しさは持ったままで心の中では葛藤していると分かったから、このよーなやり方を取らせて頂きました・・・・」

これは私の偽善であり自己満足でしかない。

「・・・・・・の話を聞いても、私にとっては許し難い仇であり、奴等の行いを許す事は到底できない」

・・・・そうだろうね。

「・・・・しかし、にとってはとても大事であり奴等もを思っている事も感じ取れた。

私に奴等を許す事は生涯有り得ないが、が旅団を見放すまでは手を出さないでおく事にする」

それって・・・・・・

「だから・・・・が愛想を尽かした時はすぐに言ってくれ。その時は、心置きなく果たせられそうだ」

「・・・・・ありがとう」

後ろに少し黒い空気が漂っていたが、努めて爽やかな笑顔だけ見るようにして空気には気付かない振りをした。

私が傍にいる限り大丈夫ってコトだけに焦点を当てておこう・・・・









夢主、異世界人だとバラしました。