忍びの学び舎此処に在り 2


                             『あー、美味しかった』
「学園長、危険では…」
                             『今度また買いに行くか』
「あやつ等の心配は無用」
                             『ねー。さて次は、腹ごなしだね』
「なに、あの身のこなしなら大丈夫じゃろう。心配なら時々様子を見てあげなさい」
                             『そうだな』
「はぁ…」
                             『で、何しようか?』
教師の中で一番若年の青年が出て行った子ども達を心配し付いて行こうとするが、子ども達の動きと年嵩二人の言葉にその場に留まった。
                             『…忍者学校ならある程度は許容される?』
「…それで、あの子達を外してまで話したい事とは?」
                             『…“竹使っていい”って言ったしね』
大川の言葉に空気が少し締まる。
                             『“何か作ってもいい”とも言ってたな』
「やはり気付いたか…実はな、あやつ等達をこの学園に通わせたいと思っておる」
                             『“罠”とか“落とし穴”もあって』
「それは良いが…お前さんが教え込んでいるのではないか?」
                             『んで、“気を付けて遊べ”とも言われたな』
「儂がこのまま教え続けても一流の忍者になるだろう。今でも二人で掛かればプロ忍者とも充分渡り合える程だ」
                             『んじゃ、やるコトは一つ』
「それは…随分と教育したようだな」
                             『ここはやっぱ』
「あやつ等は物覚えが良い、いや、良過ぎた…儂もあそこまでできると思っておらず遊び半分で教えていたら全てこなしてしまった」
                             『『トラップ作り』』
「なんと…将来有望でおぬしの里も安泰ではないか」
                             『先ずは落とし穴や罠がどこにあるか確認だな』
「……里の者なら話はそれで終わったんだがな」
                             『その後一旦罠を解体して使えるモノ利用して』
「というと…?」
                             『避けた所にまた罠があるように作ろうぜ』
「此処からは里の恥でもあるんだが……あやつ等は儂が里の外で拾ってきた孤児だ、なので里の者はあやつ等を認めようとはせん。双子は忌み子だと言って余計にな。
                             『あ、ココに落とし穴ある』
その癖、厄介な仕事は全てさせようとする、忍務で死んだら儲けだと思ってな。そして、あやつ等もそれをこなせてしまうから余計に嫉妬し拒絶しておる。
                             『ん、広さも申し分ないな』
儂が里の者に言い聞かせても全く聞く耳を持たん。このままいけばいつか命を落としかねん」
                             『深さはもう少し欲しいかなー』
「それは…」
                             『ココをもう少し掘って竹槍でも埋めるか』
「確かに実力はある。だが、あるからといってまだ十歳にもならない子に、暗殺の任務を平気で回すのは正気の沙汰とは思えん」
                             『避けた時用に隣にもう一個穴がいるね』
「なッ?!」「「「「「「「「「ッ?!」」」」」」」」」」
                             『それは小さくていいだろ‥お、罠見っけ』
「儂を通さず回しておって、気付いた時には幾つもさせた後だった・・・・それでも怪我もなく遂行したあやつ等の実力は本物だ。
                             『踏むと木に吊り上げられるヤツだね』
だが、あの歳で殺しをやらせて心に傷を負ってない訳がない。不思議な部分もあるが性根の優しい子達だから、きっと傷は深かかろう…
                              『あの、縄使えるな』
その後すぐにあやつ等と里を出て旅をしていたが、ある時儂が少し離れた時に山賊が襲ってきたらしく、儂が追いついた時には顔色を変えずに山賊全てを殺しておった…」
                             『落ちたら引っ張られて石飛ぶようにしよっか』
「皆殺し…」
                             『なら俺は罠解体するから竹よろしく』
「理由を聞けば“自分達を見て、『味見した後金持ちの変態爺に売ればいい金になる』って汚らしい手を伸ばしてきたから”と言っておった…あやつ等は自分達を護る為に力を行使しただけだ、それを教えた儂は良くやったとしか言えん。
                             『りょうかーい』
あやつ等は普段は少し悪戯好きだが賢い子どもで、とっても仲の良い兄弟だ。
                             『削る道具持ってるか?』
しかし、心の中には大きな闇を飼っており、自分達以外には冷めた目をで見ておる。忍者を目指す子には精神の成長が早い子もおるが、あの子達は訳が違う。
                             『苦無で無理ならどっかから調達するよ』
儂が忍術を教えてしまったから、仕事をさせてしまったから、あやつ等は子どもでいる事を止めてしまった。
                             『最終は無理矢理割ったら少しは尖るだろ』
儂にはもう殆ど頼りはせん。
                             『そーするー』
ならば此処で、子どもでいられる時間を、庇護され、学び、遊び、育つ時間を与えてやって欲しい」

「そんな事が…」

「自分達と同年代の人間というものはどんな歳になっても大切な物だ、関わる事で互いに競い励まし合い、信頼し合い、成長していける。

そして、安心して過ごせる場所、護ってくれる大人が、頼れる大人がいると分かれば、少しは甘えられるかもしれん。

別に大人だけではない。同年代、同じ子どもでも心から信頼できる者が自分達以外にもできればいいと思う。

儂は、里は、あの子等に安心して過ごせる場所も頼れる存在も与えてやれはせんかったからな・・・・

「…森羅、おぬしは頼れる存在でいてやれなかったと言っておるが、本当に頼れなかったらあの子達はすぐに離れたのではないか?」

「……どういう事だ?」

「確かにあの子達は自分達が一番信頼し合っている仲なのであろう。だが、おぬしも充分信頼されておる。でなければ、とうに離れても、生きていけたのではないか?」

「………」

「おぬしはきちんと保護者として認められておるよ」

「…そう思って貰えてると嬉しいがな」

ぶっきらぼうに言いながらも、照れ臭そうにしている森羅を見て、子ども達を大事に思っているのが窺えた。







あれ、超シリアスになってるんですけど…?
ってか、本当に落乱の夢小説か?マジ学園長しか出てきてねーぞ?
ってか、夢主達も殆ど出てきてないぞ?(笑)

そして、裏では超ハッチャけてますけど?!
放ってていいの?!超楽しそうに罠作ろうとしてるよ!?
ってか、万爺が言ってる性格と夢主達全然違うじゃん!!(笑)