忍びの学び舎此処に在り 3


「して、入学理由はどうするつもりじゃ?忍び志望でよいのか?行儀見習いとしてか?」

「別に忍びになって欲しい訳ではないが、なりたいというなら止めもせん。自分の道は自分で決めればいいと思っておる」
                             『竹できたー』
「上級生なると、忍者としてそういう実習やお使いを頼むことも出てくるぞ?」
                             『コッチも掘れた』
「ある程度成長した後で、自分が納得して行えるなら構わん。できない、やりたくないと言うのなら辞めてしまえばいい。ただ、それを選択するのはもう少し成長してから自分で選べるようにして欲しいとは思う」
                             『あとさ、これ見てー』
「そういうことなら喜んで預かろう、但し、特別扱いはせんし授業料は払ってもらうぞ?」
                             『ヘビ?』
「授業料なら心配要らん、あやつ等の仕事の報酬が残っておる」
                             『さっきそこで捕まえた』
「そうか、2人はいくつになるのじゃ?」
                             『毒抜きしたら使えるか』
「二人共十一になる。兄がで弟がだ」
                             『小さい方に入れとく?』
「十一か、ならば二年生じゃな」
                             『そうだな』
「本当はもっと早くに来れれば良かったのだが」
                             『石はこの辺?』
「何、あの子達ならすぐに追いつけるじゃろ」
                             『んーそうだな、遠いと落ちなさそうだしな』
「そこは心配しておらん。心配なのは人間関係だ」
                             『これでいっか。あとは…』
「愛想はいいのではなかったか?」
                             『竹で簡単に網を作って』
「儂の知る限り、あやつ等は大人としか関わってきておらん」
                             『穴の上に置いて』
「同世代、自分達以外の子どもを知らんという訳か…」
                             『土と草でできるだけ分からなくして』
「大人に通じる理屈も子どもには通用せん事を知らんだろうな」
                             『『完成〜』』
「それも追々学んでいけば良い」
                             『後は草を結んで』
「よろしく頼む」
                             『こうやって…おっし、できた!』
「では先生方、そういうつもりで」
                             『んで、誰落とす?』
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」
                             『子どもだと危険な場合があるよな』
「恩に着る」
                             『じゃあやっぱ、万爺か学園長先生?』
「さて、ではあの子達を呼び戻さんとな。半助、あの子達を呼んできなさい」
                             『先生達でもいいんじゃねぇ?』
「はい」
                             『そっか、先生達なら大丈夫だよね』




「(確か此方で遊んでいたな…あ、いた)おーい」
『お、丁度いい所に』
庵から竹薮に行く途中に子ども達を見つけ、若い教師が呼びかけるが、子ども達は動こうとしない。
 『飛んで火にいるってね♪』
「(私に警戒しているのか‥)学園長と森羅殿が呼んでいるから一緒に行こぉッッ?!」

子どもに話しながら近付くと、何かに足を取られ目の前に落とし穴らしき物が見えた。瞬時に手を穴の手前に付き身体を捻り遠くに跳んで穴から遠ざかる。
『おぉー、一つ目処か二つ目の穴も回避した』『流石先生だねー』
一連の動きを見ていた子ども達に拍手され、何がなんだか分からずにいると庵から森羅と大川が出てきた。他の教師達も何かあったのかと様子を窺っている。
『やっべ』『バレるかな?』
「……お前等の仕業だろ?」
『罠の目の前にいたんだからバレるわな』
呼びに行った教師の位置と子ども達の動作で状況を把握した森羅は子ども達を睨むが、二人は何のコトとばかりに小首を傾げる。

「この子達を責めないで下さい、私が隠れていた罠に気付かず引っ掛かっただけですから」
『先生気付いてないよー…』『オレ達が作れると思ってないじゃね?』
「…その罠が、こやつ等手製だから叱っておるんじゃ」

「えぇッ?!」
『ほらな』『なら残りもバレないかな?』
森羅の言葉に驚く教師は目を見張って子ども達を見るが、二人は未だに知らん振り。

「…何を作った?」
『流石に万爺は騙されてくれないか』『しょうがないね』
森羅は誤魔化し切れないと判断したのか、子ども達は肩を竦めながら足元を踏み抜く。

するとそこにはかなり深めの落とし穴があり下には竹槍が上を向いており時間差で拳大の石が落ちていった。

「竹槍入りの落とし穴…」

「こんなものを短時間でこの子達が…」
『だって竹は切ってあったし』『穴もあったしな』
「全く……後できちんと処理しておきなさい」
『万爺って悪戯してもあんま怒らないよね』『里のヤツ等みたいに煩くないのはいいよな』
「「(コクリ)」」
『こーゆー大人が増えて欲しいよね』
「「「「「「「「「(そーゆー問題だろうか…?)」」」」」」」」」
『オレ達も悪戯には寛容な大人になろうな』『ま、引っ掛かる気もないけど』
「半助も子どもの罠に引っ掛かってどうする」
『お、学園長が近付いて来た』『もうちょい、もうちょい…』
「すみまs「のわぁぁあッ?!」学園長ッ!?」
『『よしッ!!』』
子どもが作った罠に引っ掛かった教師を説教しながら近付いた大川はもう一つの落とし穴に嵌った。
『大ー成ー功ー』
「たたたた………のぉッ、へびぃッ!?」
『オレ達の腕も中々のモンだな』
「だ、大丈夫ですか学園長?!」
『年期掛かってるからね』
「か、咬まれてはかなわんッ!早く出なくてはッ!半助、手を貸せッ」
『こっち側も上出来みたいだな』
「は、はいッ」
『それにしても…が、学園長慌て過ぎ…』
慌てて穴から出ようとする大川とそれを助け出す教師を見て、子ども達はバレない様に面の下で笑いながら小さく拳を打ち合わせた。
『わ、笑ってやるのは、か、可哀想だぞ…』
それを見ていて注意できるのは森羅だけだったが、特に誰も怪我もせず忍術学園の教師すら騙せる罠を作った子ども達を誇りに思ってしまい、注意する気をなくしてしまった。
『ひ、人のコト言えない、じゃん…』
「・・・・戻るぞ、お前達に話がある」
『クク…あー、面白かった』『腹筋が痙攣するかと思った』
『この学園長をハメるの、結構アリだな』『次が楽しみだねー』







オリキャラ爺ちゃん大活躍。先生以外のキャラどころか、夢主すら話に殆ど出てこない。(笑)
裏でチョー遊んでるけどね。(笑)
ってか、悪戯の範囲ではない気がするのは気の所為だろうか…