初顔合わせ 2(用具委員会)


用具委員会の集合場所である倉庫を開けると、既に先輩達は集まっていた。

「おーおとめ、遅かったなー」
                                          ー、コッチ着いたっぽい?医務室らしい』
「おとめって言わないで下さいよ!!」
『保健委員会だもんね、コッチは倉庫みたい』
                                          『用具委員会だもんな』
「あー悪ぃ悪ぃ」
『しかし、カラフル…』
                                          『何色がいる?』
「謝る気皆無じゃないっすか…」
『深緑・群青・紫と連れて来た萌黄』
                                          『こっちもだ。各学年集合って感じだな、一年いないけど』
がっくりと肩を落とした留三郎にからかった先輩はケラケラ笑い、他の先輩達も目を細めて微笑んでいた。

「それで留三郎、新しい子は?」
                                          『保健委員会って不運なんだって…』
「あッはい、コイツがです!!、端から順に弥彦先輩、信之先輩、そして委員長の清治先輩だ!!」
『不運?』
                                          『ご飯が売り切れたり罠に嵌ったりと色々な目に遭うみたい』
「留、それ紹介になってなねーから」
『それは…不運じゃなくて呪われてるのでは?』
                                          『オレもそっちが正しい気がする…』
やる気が空回りした紹介に先輩達は苦笑しながら自己紹介をしていく。

の事は留三郎が迎えに行った経緯を交えながら伝えていき、最後に自分で名前を言うよう促した。

「……二年は組白檀です」

他方から来る好奇の視線に警戒心を顕にし、愛想も何もない名前だけを返す。

「怖がらなくて大丈夫だぞ?先輩達は下級生をからかって遊ぶのが好きなだけで取って食べたりなんかしないから」
『コッチは後輩弄りが好きらしいけど、後輩弄りってゆーより留先輩弄りみたい』
                                         『あの人打てば響きそーだもんな』
警戒を怖がっていると勘違いした留三郎はの頭をポンポン撫でながら言い補おうとした。

「それフォローになってないから」「からかうなんて失礼な、戯れてるだけだ」
「“下級生”じゃなくて“同じ委員会の後輩”だぞ?現に俺は弥彦や信之でも未だ遊ぶしな」
『実際ちょー響いてるよ』

「「そろそろ勘弁してくださいよー」」

「ははは、やだ」

楽しそうにやり取りするも決して留三郎の言葉を否定しない先輩達を怪訝な様子で見ていたに、留三郎は肩を竦めて付け足した。

「…とまぁ、こんなんでも一応実力は確かだし頼りにはなr「留三郎くーん?『こんなんでも』ってどーゆー意味?」「俺達の実力は『一応』なんだ?」「『頼りには』ってなにー?」とっても強くて頼りになる素晴らしい先輩達ですッ!!
                                         『なんか笑顔が超黒いんですけど…』
が、耳聡い先輩達に脅され聞き直され慌てて言い変えた。

「しっかしキレーな顔してるなぁ…」
『コッチはそこまで黒くないかなー』
                                         『俺そっちがよかった…』
ヒョイと顔を覗き込んで見てくる先輩に驚きは思わず留三郎の後ろに隠れる。

「ははッ、カワイー反応だなー」

「弥彦先輩、先輩が一番目つき悪いんですから怯えさせないで下さi「目つきに関してはお前に言われたくねーよ」ッてーッ?!

背中に隠す様にしてを守る体勢を取ると、覗き込んでた五年の先輩は留三郎の額をデコピンして退かせると、の頭をグシャグシャと撫でて満足そうに笑った。

「弥彦、怪我させるなよ」「留三郎に付ける薬が勿体ないと保健委員会から文句がくるよー」

からかう四年生に六年生と五年生が窘める(振りをしてからかい続ける)。

「俺はそんな失敗しませんー」

「ってか信之先輩、勿体ないってどーゆー意味ですかッ?!」

「「「そのまんまの意味」」」

留三郎は噛み付き返すが先輩達はどこ吹く風。がっくりとうなだれた後、の方を振り返りギュッと抱き締めた。

は俺が守ってやるからなッ!!」

抱き締めたまま叫ぶよーに誓いを立てる留三郎にが困惑していると弥彦が遊びで二人に抱き付きそれに信之が便乗した。

そして、委員長の清治は窘めるどころか全員を抱き潰し包みこんだ。

「先輩ッ痛い痛いッ!!」「力入れすぎですってッ!!」

「マジ俺とが潰れるッ!!」
『訂正、黒くはないけど暑苦しい…』
                                         『どっちもどっちだな…』
「えー、しょうがないなぁ…」

後輩達から非難を浴びた委員長は渋々退くと他の先輩達もヤレヤレと離れていった。

「大丈夫か?」

とても心配そうに顔を覗き込んでくる留三郎にが首肯するとホッと息をついた。

「おー先輩、まずは倉庫の道具の説明をしてやってくれ」「三年用具をやってるんだから勿論分かるよねー?」
『この上級生達、敵意がある訳ではなさそうだけど』
                                         『コッチも言ってる事は本心な様だ』
「分かりますよッッ!!多分…
『でも一番信じれるのはやっぱり三年生みたい』
                                         『一番分かり易いしなんかすっごく好意的だし』
「よろしくな」
『まずは三年生を壁にして様子見からだねー』
                                         『先生達にも“自分達で見極めろ”って言われたしな』
「はいッッ!!じゃあまずはあっちの道具から教えてやるな!!」
『見極めてやろうじゃん?』
                                         『あぁ』


和気藹々と(片方無表情だが)道具の説明をしている下級生組をからかいの暖かい目で見物する見守る上級生組。

「見事な先輩魂ー」

「待望の後輩だしねー」

「しかも“可愛い”ときた」

「そっち方面でも少し目を光らせておかないといけないかな?」

「大丈夫だろ」

「まぁ、上級生で武道派な用具この委員会の子に手を出そうとする奴は少ないと思いますけどねー」

「そーじゃなくて、いやそれもあるけど」

「「?」」

委員長が言いよどんだ事に他の二人は首を傾げる。

の奴ここ来る時ほとんど気配も足音もなかっただろ?留三郎の分しかなかった」

「そーいえば…」「確かに…」

「留三郎も教室で最初に聞いた奴は知らなかったと言っていただろ?もしかしたらの存在自体を知らない奴がほとんどかもしれないぞ」

「じゃ、見守りながら他の奴等の行動も確かめるって事で」

「「だな・だね」」

弥彦が言った方法に先輩二人も頷く。

最後は委員長が締めた。

「保健委員会の新入りも兄弟らしいし、保健と協力して対処するか…」

「う、保健…」「…仕方ないですねー」

「アイツ等は確かに腹黒いが味方に付ければかなり心強い奴等だ」

「分かってますよー…」「分かってはいるんですけどー…」

「「不運を逆手にしてくるんですもん…」」

「諦めろ」

「「はい…」」



「先輩ー、道具の説明終わりましたー!!」

「おー、ご苦労」「じゃあ次は仕事をしながら説明しようか」「留三郎もしっかり説明について来いよ」

「はいッ!!」

その後も用具委員会の活動は賑やかに行われた。







先輩方ちょーでばりすぎー、留三郎全然活躍してないじゃん。(笑)
名前まで出しましたが、今の所これ以上出番はないです。多分…
だって意外とこの先輩達面白かったんだもん!

と以心伝心中。保健委員会編と繋がってるので、見比べたら分かり易いと思います。
面倒と言う方は反転して見るのも手ですね。(笑)




<捏造委員会及び委員>

用具委員会──学年関係なく仲がいい。ほとんどの者が武術の心得を持っている。後輩は守る者。

清次  六年い組 委員会の後輩大好き、五年も四年も可愛い後輩。
信之  五年ろ組 楽しい事大好き、だから委員会では弥彦とよくつるむ。
弥彦  四年は組 悪戯大好き、打つと響く留三郎をからかうのがとっても好き。

留三郎は弄られキャラ。(笑)